広島が逆転負けを喫し、引き分けを挟んで連敗となった。敗戦の中で好調堂林翔太内野手(28)が先制弾を放ち、4番鈴木誠也外野手(25)も7回に8号2ランをバックスクリーンに放り込んだ。借金が今季ワースト5に膨らんだチームの中で、打線を引っ張るSS砲が希望の光となった。

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1試合2度の“エアヒップアタック”も、勝利につながらなかった。まずは1回。先制弾の堂林が次打者で迎える鈴木誠とお尻を向き合わせてジャンプ。今度は鈴木誠が7回に2ランを放ち、先に生還した堂林とともに再び喜びの儀式を行った。16年4月26日ヤクルト戦、17年5月31日西武戦に続く、翔太と誠也のSS砲の3度目アベック弾で、初の黒星。チームは引き分けを挟んで連敗となった。重苦しい空気が漂う中で好調を維持する2人の中軸が明日の戦いを明るく照らす光となった。

堂林のバットが止まらない。1回2死から秋山の内角をえぐるシュートに反応した。左肘を畳んでコンパクトにバットを振り抜き、左翼ポール際に運んだ。7回は再び内角の厳しい直球を左前へ。「今日を含めていい反応で打てていると思います」。打率4割3分7厘。勢いだけでなく、技術が伴った打撃で4割をキープする。

4番鈴木誠は試行錯誤しながら結果を残している。この日も打席で両足を近づけて直立のように構え、秋山との3度目の対戦となった7回。低めの球を捉えて、センターバックスクリーンへ放り込んだ。「ひと振りでしっかり捉えることが出来ました」。開幕から安定した打撃を続けながらも、この日のように試合の中で打撃フォームを変えるなど、シーズン中でも打撃の追求は続いている。

鈴木誠入団時から2人の親交は深い。野球に取り組む姿勢や練習熱心な共通点もあり、食事をともにするなど絆は固い。今年1月には合同自主トレで刺激し合った。強固な新ユニットが広島打線の大きな得点源となっている。4番と6番だった16日巨人戦からはじめた“エアヒップアタック”は、2人の好調さと打順が並んだことで頻度が高まっている。チームは連敗で借金は今季最多5。お尻に火が付きそうだ。佐々岡監督は「点の取られ方も悪いし、申し訳ない」と敗戦の弁を述べた。重苦しい空気はSS砲を中心に吹き払っていくしかない。【前原淳】