阪神先発の西勇輝投手(29)が孤軍奮闘した。7回1失点、121球の力投。援護に恵まれず悔しい2敗目となったが、胸を張れる堂々ピッチだった。

前回3失点完投で制した中日勝野と今季2度目の投げ合い。8安打され、3回以外は毎回走者を背負ったが、持ち味の粘りを存分に発揮した。昨季10打数6安打1本塁打と苦手にした4番ビシエドを得点圏で2度打ち取るなど、6回まで0を並べた。

無念は球数が100球を超し、打線の援護がないまま迎えた7回だった。先頭福田の安打から2死三塁のピンチ。1番井領へ投じた117球目スライダーは、深い三遊間へのゴロとなった。遊撃北條が追いつき、懸命に一塁送球したが、あと1歩及ばず適時内野安打。打ち取ったあたりだったが、この1点が決勝点となってしまった。

「チームとしては、あそこの1点を防ぎたかったというのは、反省しないといけない部分です」

西勇は悔やんだが、矢野監督は「十分」と高評価。試合後、取材を受ける右腕に「ナイスピッチング」と声をかけてねぎらった。

今季はこれで先発した6試合全てでクオリティ・スタート(6回以上かつ3自責点以内)。抜群の安定感を見せている。この日も失点後、マウンドに集まる北條らに自ら声をかける姿があった。7回を投げ終えると、グラブをたたいてベンチへ。最後まで気持ちを切らさず、反撃を待った。「次の試合でしっかり投げられれば。自分の仕事はできているので、次の試合もがんばります」。悔しさを押し殺しながら、エースは前を向いた。【奥田隼人】