日本ハム中田翔内野手(31)が、キングの貫禄を示した。18日楽天7回戦(札幌ドーム)の1回、3戦連発となる決勝の18号2ランを放った。18本塁打、59打点でリーグトップを快走、2位との差をさらに広げた。チームも主砲の1発を含め、打者一巡の4得点であっさりと逆転。プロ初勝利初完封を献上するなど、苦戦を強いられてきた楽天先発の弓削を攻略した。

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勢いは初回、爆発した。1-1の同点とした直後の1死二塁。中田が荒れ気味の楽天弓削の116キロカーブを、無駄のないスイングで捉えた。「しっかり引き付けて打てた」。打った瞬間に観衆が拍手で盛り上がるほどの確信ある一撃。打球は左中間席の深いところで弾んだ。決勝アーチとなる18号2ラン。主砲の3試合連発で、すぐさま主導権を奪い返した。

この一振りで勢いに乗ると打者一巡の猛攻で、一挙4得点。6回途中までに9点を奪い、これまで1度も勝てなかった天敵をKOした。弓削には昨季、札幌ドームでプロ初勝利を初完封で飾られるなど、登板4試合で3勝0敗、防御率1・04と苦杯を飲まされてきた。小笠原ヘッド兼打撃コーチは「選手個人個人の攻める気持ちが、うまくハマった」。苦い記憶を、爽快に拭い去った。

チームに勢いを付けた中田は18本塁打、59打点で2つの打撃部門で独走態勢だ。だが「意識したらダメ」とタイトルには無関心を貫く。今季5度目の決勝打には「僕にとって、すごく大きなもの」と満足げだった。12日ロッテ戦では自己最多1試合6打点など打点は量産中。「打点はみんなの協力があってこそ。1打点1打点に価値がある」と思いは強い。栗山監督は「(決勝弾に)大きいよね、(バットの)先っぽでしょ、あれ。よくあそこまで持っていけたし」と称賛した。

異例の開幕となり、組まれた同一カード6連戦は、今カードで最後になる。上位進出へ、主砲の一振りが強い意味を増していく。中田は「大事な試合が続くので、最後まで諦めない姿勢は見せていきたい。まだまだバットを振っていて、状態が良いとは思わない。まだまだ打てると思っている」。飽くなき向上心を抱き、勝利へ導く一打を重ねていく。【田中彩友美】