これが“レベチ”な4番の働きだ。日本ハム中田翔内野手(31)が楽天11回戦で両リーグ一番乗りとなる20号をマークした。3点リードの5回、広い札幌ドームの右中間スタンドへ放った一撃は、自身3年連続8度目となる節目の20号。不動の3番近藤が負傷欠場するピンチを、本塁打、打点で両リーグトップを爆走する主砲が救った。チームは再び勝率5割に復帰。熱いパ・リーグを、中田が盛り上げる。

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感触はバッチリだった。中田の描いた大きな放物線は、広い本拠地の右中間席へ飛び込んだ。「理想に近いというか、札幌ドームで逆方向に打てたというのはうれしい。自分の中でも価値のある本塁打だった」。3点リードの5回2死、塩見の134キロフォークを一振りで仕留めた。15年以来自身2度目となる両リーグ一番乗りの20号に「しっかりと呼び込んで自分のスイングができた。感じ的には今年一番よかったかな」と喜んだ。

ここまで55試合で20発と、まさに“レベチ”。シーズン43発のハイペースで本塁打を重ねるが、中田は「どうでもいいね。それよりも打点をもっと増やしたい」と本数を気にしない。こだわるのは打点。それを体現したのが1回だった。先制直後の無死一、二塁で左翼線を破る貴重な2点適時二塁打。この日、3打点を加えて64打点。打点でも両リーグ首位を独走中だ。

この日、開幕から全試合で3番に座っていた近藤を欠いた。前日の試合で自打球を当て、右ふくらはぎ付近を打撲。ここまで3割5分に迫る打率を残す中軸が不在。「みんなでカバーしあって。こんちゃん(近藤)が帰ってくるまでなんとか粘りたい」。その言葉通り、主砲が大きな穴をしっかりと埋めた。

栗山監督は4番の働きに目を細めながらも「本当にいい本塁打だった。ただ、これをトータル的に大きな数字に残さないと、なんか納得感が出てこないと思う。ここからなのでね。まだまだこんなものじゃないので」と満足しない。球団では張本勲の13度に次ぐ自身8度目のシーズン20発。「あと5回…。個人的にはもっともっと打ちたいですし、コツコツと頑張っていけたらいい」。さらなる高みを求め、中田はこれからも打線を支える。【山崎純一】