大きな壁をぶち破ったのは、やはりこの男だ。ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が推定飛距離140メートルの2戦連続バックスクリーン弾となる特大の先制17号2ランに加え、決勝打で全3打点を挙げる活躍。「勝ちたい気持ちだけでした」とZOZOマリンでの連敗を6で止め、3位に落ちたチームを1日でロッテと並ぶ首位タイに再浮上させた。

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柳田の気合が、ZOZOマリンに響いた。バットを振ると同時に、声を発した。打球はグングン伸びて、バックスクリーンへ。チームの「呪縛」を解くどでかい1発は、スコアボード下付近まで届いた。

0-0で迎えた4回、中村晃が左前打で出塁。続く柳田は、3球目の真ん中直球を見逃さなかった。昨年から続くZOZOマリンの連敗を6で止めたい気持ちが17号2ランとなった。「完璧でした。勝ちたい気持ちだけでした」。7回に突如降り出した雨とともに一時はロッテに追いつかれたが、ギータのバットは湿らなかった。8回、またも目の前で中村晃が左前打で出塁。今度は左中間へ決勝の適時二塁打を放った。三塁を狙ってアウトにはなったが、全3打点でチームを救った。「1つ勝つことがこんなに大変なことだと、身に染みて分かりました」と気持ちを引き締めた。

21日、試合前に平石打撃兼野手総合コーチからアドバイスをもらった。「投手の見方ですね」と柳田は言い、平石コーチは「ちょっと、こうじゃないかと話しただけですよ」と多くを語らなかった。ただ、その助言が2戦連続バックスクリーン弾で実った。「相手(投手)があることだが、自分がいいスイングをすればいい。自分がやるべきことをやればいい。甘い球を1球で仕留める集中力が大事です」。厳しい内角攻めの中、わずかなスキを逃さなかった。

工藤監督も、頼もしい主砲に目尻を下げた。「バックスクリーンとスコアボードの間くらいまで飛んだように見えました。自分が崩れても修正するところはさすがだなと思います」。これで工藤監督の通算勝利数は455となり、秋山前監督の456にあと1つ。工藤監督は「勝つことが何より。みんなが喜んでくれる」と勝利をしみじみと感じた。3位転落から1日で首位タイに。ギータのバットは、いつもチームを笑顔にする。【浦田由紀夫】