オリックスが助っ人パワーで不名誉な黒星をまぬがれた。月間18敗を重ね、球団ワースト記録に王手がかかっていた。呪縛から解き放たれたのは2点リードの5回2死一、二塁だ。ジョーンズがロッテ中村稔の落ちないフォークをすくう。日米12年連続2ケタ本塁打となる10号3ランは左翼上空を舞い、客席に消えた。

「(前の打席で)フォークを引っ掛けてゴロ(遊撃失策)になっていた。何とか球を高く上げようと意識して打ちにいっていたんだ」

チームの連敗、ロッテ戦連敗も「5」で止めた。17年以来、球団3度目の月間最多19敗の危機を阻止した。8月は6勝18敗1分けで、西村監督辞任の泥沼だった。苦戦続きでもAJは最善を尽くす。月間5発は、すべて2球目までを仕留めたものだ。打席では「甘い球」への仕掛けを自らルールとして課す。

「積極的に、というのはある。そのなかで球が高く来たら、しっかり振りにいく。低い球はゴロになる。高ければ外野に強い打球が飛ぶ。自分はゴロに負けない走塁ができないからね」

来日当初、日本でプレーした仲間に「どんどん攻めてこないぞ。ボール球を振らせに来るぞ」と伝えられた。大リーグ282本塁打の誇りがある。「真っすぐには絶対負けない、という気持ちが抜けなかった」。だが、次第に心持ちが変わった。「歩かせても大丈夫くらいの気持ちで投げてくる」。変化球も駆使する日本の配球にも、シンプルに好球必打。修正を重ね、立ち戻った。日米通算2000安打まで残り7本。メジャーの大砲が9月戦線の起爆剤になる。【酒井俊作】

▽オリックス中嶋監督代行(新体制後5本塁打量産のジョーンズを) 打つべき球をしっかり打てている。ボール球を追いかけないようになったのかな。