ソフトバンク柳田悠岐外野手(31)が驚異のライナーで逆転での今季最長8連勝を呼び込んだ。1回に4点を先制されて迎えたその裏だ。1死一塁で左翼ホームランテラスのフェンス上部にバウンドしてスタンドに突き刺さる20号2ランは、チーム3発8得点での逆転の口火となった。8月は10本塁打と加速度を増し、自身初の40発も夢ではなくなってきた。

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打席に入る前から気持ちが高まっていた。4点を先制された直後の1回裏。1死一塁で柳田が打席に向かうと、場内にテレビドラマ「半沢直樹」のテーマ曲が流れた。3球目を振り抜いた打球は左翼越えの20号2ラン。「倍返し」の口火を切るライナー弾でチームの反骨心に火をつけた。

打球は左翼ホームランテラスの上部で大きくはねて左翼スタンドに吸い込まれた。日本ハム先発バーヘイゲンの155キロの真ん中低めのツーシーム。決して失投ではなかった。「動く球ですがタイミングを合わせて集中して打ちました。丁寧に打つことをイメージして、芯に当たってくれました」。これまで第1打席の登場曲は「WANIMA」の「ともに」だったが、この日から「半沢直樹」に変更した。

柳田 今日(30日)は半沢直樹(の放送)があるので、それをモチベーションに頑張りました。毎週見てます。これからも日曜日の試合は(テーマ曲を)流そうと思います。もちろん最終回までです。

昨年は左膝の故障もあり38試合出場に終わった。「今年はレギュラーを取る気持ちを毎日胸に刻んでやってます」。自身としても「倍返し」をテーマにして2ランを放ち、4点ビハインドを逆転するチーム3発8得点の「倍返し」の口火役にもなった。

シーズン約半分で20号に到達。本塁打トップ21本の日本ハム中田の目の前で1本差に迫った。「20本はうれしいです。これからも1本1本積み重ねていくだけです。自分はホームラン打者ではない。ヒットの延長線だと思ってます」と言いながら、8月は10本塁打をマーク。120試合と今季は少ないが40発到達も夢でなくなってきた。

初回に4点を失ってもギータの一振りで逆転ムードを作り上げ、中村晃決勝4号2ラン、グラシアル2号ソロの今季8度目となる1試合3発。今季最長の8連勝で、2位との差は今季最大3ゲーム差に広がった。工藤監督も「あの1発で雰囲気が変わりましたからね」と柳田に脱帽した。これで日曜日も7連勝。「ギータ日曜劇場」の1発がチームに笑顔をもたらした。【浦田由紀夫】

▼柳田が自身4度目の20本塁打を記録した。過去3度の20号到達時のチーム消化試合数は、15年88試合、17、18年はともに74試合。今季は62試合目で、過去最速を12試合も更新した。

▼現状のペースで本塁打を打てば、例年より少ない今季の120試合換算でも38本塁打となり、自己最多の18年36本を上回る。仮に通常通り143試合行うとしたら、46本塁打に達するハイペースだ。