阪神藤川球児投手(40)が、今季限りでユニホームを脱ぐことを決めた。8月31日、球団が発表した。

開幕から守護神を務めたが、コンディション不良に苦しんだ。ここまで11試合で1勝3敗2セーブ、防御率7・20。現在は2軍調整中で、日米通算250セーブまで残り5と迫っている中での決断となった。引退会見は1日に兵庫・西宮市内で行われる。

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さらば、火の玉ストレート-。球界屈指のリリーバーとして一時代を築いた阪神藤川がついにユニホームを脱ぐ決断を下した。谷本修球団副社長兼球団本部長(55)がオンライン取材で、今季限りの現役引退を発表した。「本人から聞いた話ですけども、1年間を通じてコンディションを保つのが年々、難しくなってきている。体が悲鳴を上げているというのが1つ。もう1つは、やはりチームに非常に迷惑をかけていると。来季については今季以上に苦しくなると懸念も考えられる。以上、2点でございます」と説明した。

99年のプロ入りから働き続けた体は、限界に達していた。昨年4月に藤川が出場選手登録を抹消された時から、今後の選手生活について話し合ってきた。球団側は19年シーズン限りでの引退の申し出も受けていたという。同年は抑えとして復活したこともあり、現役続行を要請。藤川はオフの会談で「2020年シーズンも頑張ります」と不退転の覚悟を胸にしていたという。

今季は守護神として開幕を迎えたが、11試合で3敗、防御率7・20と精彩を欠いた。2度の出場選手登録抹消。2度目の2軍調整だった8月中旬に、藤川は今季限りでの引退を申し出た。コンディション不良の右上肢は手術が必要なレベルで、完全復調は難しい状況。谷本球団副社長は「これまでの戦いの中で疲労の蓄積と言うんですか。いろんなところが、しんどくなっているというのが事実のようです」と話す。電話で明るく振る舞いながら引退の意思を表明したが、伝え聞く体の状態は深刻。引退を了承せざるをえなかった。

名球会入りの条件となる日米通算250セーブまであと5。2軍調整中の藤川は「必ず戻ってくる」と1軍復帰に意欲を燃やしているという。「現状の彼の思いは、野球人生について全く悔い、後悔はないということでございましたけれども、今シーズンを諦めたというわけでは全くなく。9月中を目指して、チームの戦力になるよう仕上げていっている状態であるということです。名球会入りの条件、あと5セーブの達成ということはもちろん、矢野監督を胴上げするための活躍というのをお願いして」と同球団副社長は期待する。藤川は1日に西宮市内で引退会見に臨み、心境を語る。引退セレモニーは未定。チームは逆転優勝をかけて、勝負の9月を戦う。あくまで1軍戦力として、残りシーズンを完全燃焼する決意だ。【磯綾乃】

◆JFK 05年阪神はジェフ(J)・ウィリアムス、藤川(F)、久保田(K)が強力リリーフ陣を形成。同年7月18日横浜戦も盤石の継投で、3人が登板したゲームは1分けを挟み17連勝となった。翌19日付の日刊スポーツは頭文字から「JFK」と命名した。