広島は7点差を追いつかれる痛恨ドローも、田中広輔内野手(31)と菊池涼介内野手(30)のタナキクコンビが計7打点の活躍を見せた。3連覇に貢献した攻守の要は今季、開幕から打撃不振に陥りながらも、安定した守備を中心にチームを支えてきた。上位で並んでいた一昨季から、今季は打線の上位と下位に分かれているが、チームを活性化させる役割に違いない。反攻のためには攻守の両輪の働きが欠かせない。

3点を先制された直後の2回。1死二、三塁から8番田中広の中堅への犠飛で1点を返すと、2死満塁から2番菊池涼はヤクルト山中のスライダーを強振した。左翼線にはじき返して走者を一掃。2人で一気に逆転した。さらに田中広は3回1死一、二塁から中堅を襲う適時二塁打で2打点。5回にも中堅へ犠飛を打ち上げた。1試合4打点は今季最多タイだ。

3連覇時は上位に並んだ2人が今季、打撃不振もあり田中広は8番での起用が続く。8月30日に打率を2割1厘まで落とすも、経験と守備面の安定感はチームの中で群を抜く。今季は選手会長としてグラウンド外でも奔走する。佐々岡監督は主力と期待するからこそ、成績が下降しても信頼を寄せた。試合終盤に打撃コーチから代打を進言されても首を縦に振らない場面もあったという。起用に応え復調の兆しを見せる田中広は「この成績でも使ってもらっていますし、何とか結果を、と思っています。自分の役割を分かってプレーしているつもりなので、もっともっと挽回できるように頑張りたい」とさらなる巻き返しを誓う。

上位と下位のつなぎ役となる2人がそろって得点に絡むことで打線はより活性化する。「ここにきてやっと見られる打撃になってきた。感覚的なものも、技術的なものもようやく一致してきた。結果も出てきたので良かったです」と田中広は好感触をつかんでいる。

大瀬良とジョンソンを欠く投手陣はまだ安定感に欠く。この日も大量リードを終盤に追いつかれる展開となった。今後は経験ある野手陣の攻守にわたるサポートが欠かせない。3連覇に貢献した2人が反攻の両輪となる。【前原淳】