負けた気がしなかった。ソフトバンク石川柊太投手(28)は西武戦で9回118球の完投だった。わずか4安打、開始2球目で与えたソロだけで、打線の援護なく今季2敗目を喫した。初回1失点だけで0-1の「スミ1」負けは14年9月14日ロッテ戦(ヤフオクドーム)以来6年ぶりで、工藤監督となっては初めて。これが先頭打者弾となると、1970年以来50年ぶり2度目の珍事だった。

石川 先頭打者に対しての投球が全てでした。いい投球はできたとは思いますが、チームに勝ちをつけることができなかったということは、まだまだなのかなと思います。

その初回は外崎への2球目144キロ直球がやや真ん中に入り、左翼席へ運ばれた。しかし、3球目からは気持ちを切り替え、その後二塁を踏ませたのは7回の1度だけと立ち直った。工藤監督も「ナイスピッチング。ほんとにあれ(先頭打者弾)だけで、あとは打たれてなかった」と絶賛だった。

深刻なのは打線で、5回までは毎回安打を放ち、この試合で得点圏に6度走者を置きながら無得点。9回1死二、三塁のサヨナラのチャンスも1本が出ず、今季4度目の0封負けで連勝は5で止まった。工藤監督は「勝ちがつけばと思い(石川を)完投させた。投手はほんと不思議なもんですね。いい投球をしていても勝てないこともある」と野球の神様のいたずらの前に肩を落とすしかなかった。【浦田由紀夫】