19日から東京6大学秋季リーグ戦が開幕する。東大はリーグ47連敗中だが、向上した打撃力で止める。

昨秋にOBで元中日の井手峻監督(76)が就任。脱フライボール革命を掲げた。「低め以外の球はホームランか長打しかない。アメリカの選手は会心の当たりで140メートル飛ばす。それが120メートルぐらいの大学生はフライだと損をする」。こまが回るように体を使ったスイングで、センターに鋭い打球を放つ。アッパースイングをする選手たちの意識を変えていった。

井手体制初めての公式戦となった8月の春季リーグ戦で、すぐに効果が表れた。初戦の慶大戦では9回までリード。春のチーム打率は1割9分5厘で、1試合の平均得点は2・2点。1割6分5厘で1・2点の昨秋から着実に上昇した。

攻撃陣の自信もついてきた。5-5で引き分けた13日の社会人対抗戦、NTT東日本戦に象徴される。0-0で迎えた4回1死三塁とピンチの場面。先制阻止のため、内野は前進守備がセオリーだが、それを選ばなかった。「東大が後ろで守ったのはビッグニュースですよ」と笑う。チームでは、3-6までの試合展開であれば勝機があると意識を共有。結果は犠飛だったが、1点を失ってもアウトカウントを取りに行く余裕も生まれてきた。

今季は2回戦総当たりのポイント制。全10試合で勝ち点制の例年とは異なる大会方式だ。「1勝の意味は大きい。順位争いになるとチャンス」と意気込む。連敗阻止と97年秋以来の最下位脱出へ。ひと味違った東大野球部が秋で勝つ。【湯本勝大】