日本ハム上原健太投手(26)の好投は報われなかった。ソフトバンク18回戦(札幌ドーム)は、8回まで無失点投球。だが攻撃の援護がなく、9回に味方のミスも絡み2失点(自責1)して今季初黒星を喫した。チームは4カード連続の負け越しで、首位とは今季最大の10ゲーム差となった。

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完封への壁は、高かった。0-0の9回。快投を続けていた上原が、ソフトバンク打線に捕まった。「川島さんを、だいぶ意識していました」。昨季4安打3打点1本塁打と打ち込まれていた先頭・川島への四球から、歯車が乱れた。

代走に周東が送られ、一層警戒心は増した。「どうしても無警戒には出来ない。今日一の難関だなと思いました」。続く中村晃に三塁内野安打され無死一、二塁にピンチが広がると、グラシアルに134キロフォークを捉えられ、決勝打を浴びた。

自己最長8回1/3を投げ5安打2失点(自責1)。「僕が良かったというより、運が良かった。完投完封は、人生で1度もない。どうしても乗り越えたかった」。ベンチでぼうぜんとした。栗山監督が「先を考えずに1球1球、覚悟して投げている感じは、すごく伝わってきた」と胸を打たれた投球だった。

白熱の投手戦を展開した相手は、同郷・沖縄出身の東浜。実家同士は車で約15分の距離で、高校時代には合同練習をしたこともある。中学生の頃から知る「スター」との投げ合いだった。「投げ勝ちたいのはありましたし、ここまで出来るようになったんだというのを見せたかった」と、快投の要因の1つになった。大卒5年目。遅咲きのドラフト1位が、敗戦の中でも、進化を証明した。【田中彩友美】