ロッテ岩下大輝投手(23)が力で押し、今季5勝目を勝ち取った。9回のマウンドはアウトを取れず、初完封はお預け。それでも「(勝負球を)決める時に1発で決められたのが良かった」と好投を喜んだ。

山賊打線の中心、4番山川から3打席連続三振を奪った。投じた15球のうち、14球が150キロに迫る直球と、140キロ近いフォークボール。クローザーのようなスタイルで圧倒した。「自分はそれが肝になってくる投手」と自覚もある。制球力の向上が、持ち味を生かした。

制球は悪い方だった。「何かを変えないと」ともがく中で、プレート位置が気になった。「自分、ずっと三塁側を踏んでいたんです。いつだったかも忘れたんですけど、特に理由もないんですけど、一塁側を踏んでみようと思って、なんか、それがはまって」。糸を引くような外角低めが、今は存分に生きる。

力だけでは勝てないと学んできた。工夫は怠らない。少しだけ、左足を上げてから投げるまでの時間を短くした。「前回からクイックを少し入れています」と明かす。「年間を投げるにつれて、打者の慣れもできてくるので」。先発投手の自覚も高まっている。

半年前、先発陣最後のイスを二木と争っていた。種市と西野が故障で離脱したが、大きな穴を2人で頼もしく埋めている。「こういう投球ができれば、もっともっと勝てる」と井口監督の期待値も一気に高め、3連敗の危機だったロッテを再び勢いづけた。【金子真仁】