京大が今秋8試合目でうれしい初勝利をつかんだ。立役者は5回から2番手で登板した水江日々生(ひびき、1年=洛星)。172センチと小柄な右腕は最速135キロながら、カットボール、ツーシームと球を動かし、4回を2安打1失点(自責0)と抑え、勝利投手となった。「腕を振ろう。変な緊張はいらない」とリーグ戦2戦目の登板で堂々のマウンドさばきを見せた。

「京大の野球部に入りたかった」と1浪で難関の入試を突破した。京大では通常、受験勉強でブランクの長い新入生はリーグ戦の戦力とは考えず体力づくりに専念させる。1年春から登板実績があり14年ドラフト2位でロッテに入団した田中英祐投手もリーグ戦初勝利は2年春。1年で勝利投手となるのは異例だ。

9月から助監督となった元ソフトバンクの近田怜王(れお)助監督(30)も「うちにいないタイプの投手。1イニングでも投げられるならベンチに入れようと思った」と、実力を評価している。昨秋4位と躍進した京大だが、今年は新型コロナウイルスの影響でリーグ内で最も遅くまで活動停止だった。現在も3時間、20人以内ずつでの練習が続く。近田助監督は「やりたいことの3分の1もできていない。勝つまで遠かった」としみじみ話した。リーグ戦は残り2試合。水江ら新戦力の台頭もあり、ようやく勢いに乗ってきた。【石橋隆雄】