阪神大山悠輔内野手(25)が26号先制2ランを放ち、本塁打で今季初めてリーグ単独トップに立った。初回2死三塁。先発勝野の初球、146キロ直球をフルスイングした。「ランナーをかえすことだけを考えて。インコースでしたが、うまく打つことができて良かったです」。高い放物線を描いた打球は、左翼席中段まで届く2試合連発。試合前まで並んでいた巨人岡本をついにリードした。

8月中旬で最大7本差を開けられていたが約2カ月で捉え、抜き去った。本塁打数はキャリアハイの昨季(14本)を大幅更新しているが、進化は打撃だけではない。昨季(143試合出場)は「20」でリーグワーストだった失策数は、今季はここまで93試合出場で「5」と大きく減少している。「何とかしないといけない」と春季キャンプから早出特守を重ね、試合前も三塁でノックを受けてから打撃練習に入るのが流れ。「全ての面でレベルアップ」を目標に掲げる中で、守りの安定も打撃向上につながっている。

ただ、4番は試合を左右した第4打席を悔やんだ。2点を追う8回2死一、三塁。本塁打で逆転の場面だったが、祖父江の146キロ直球にバットは空を切った。「ああいう場面で打ってこそだと思いますし、最悪でも後ろの打者につなげば何とかなっていたかもしれない。三振で終わってしまったことがまだまだだと思いますし、反省すべき打席になったなと思います」。日頃から個人成績よりも、チームを勝利に導く一打にこだわるだけに、悔しい打席となった。

シーズンも終盤に入り、各チームは20試合強を残すのみとなった。キング争いは20本以上に6人がひしめき合う大激戦だ。大山のアーチ量産は、必然とチームの勝利も呼び込んでくる。球団では86年バース以来のキングへ、背番号3の打席から目が離せない。【奥田隼人】