中日与田剛監督は、ドラフト1位で中京大中京・高橋宏斗投手(3年)を一本釣りできたことに、安堵(あんど)の表情を浮かべた。今季はリーグ2位のため、1位指名は10番目にコール。「(高橋の)『た』という言葉が聞こえないように。もう絶対聞こえるなよ、と思いながら長い時間待っていた」と周囲を笑わせた。

就任以来、ドラフト会議で強運を発揮してきた。18年根尾は4球団競合、昨年の石川昂は3球団競合の交渉権を引き当ててきた。「今年は抽選しなくて済んだ。ほっとしました。(抽選するのと)雲泥の差」。2年連続で披露した「神の右手」は出番なし。支配下で6人、育成枠で3人を指名して、3度目のドラフト会議を終えた。

高校生NO・1右腕の高橋には、将来性だけでなく、即戦力の魅力を隠さなかった。「社会人、大学生と比べてもトップレベル。早い段階から1軍レベルに上がれる投手と思っている。焦らせたくはないが、そんなに長くかからないんじゃないか」と指揮官はエース候補生の早期台頭を予言する。

18年根尾、19年石川昂に続くドラゴンズジュニア出身の地元逸材を3年連続で獲得できた。与田監督は「将来のスターでいられるように。地元から素晴らしい選手が出た場合は、地域のためにもドラゴンズで活躍してほしいというビジョン」と指名方針を説明。シーズン残り11試合でチームは2位を堅守し、8年ぶりのAクラスを目指している。就任3年目の来季は、球団85周年の節目の年でもある。スター候補生たちとともにリーグ制覇に挑む。【伊東大介】