ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。

 ◇   ◇   ◇

ソフトバンクの背番号「01」も歓喜の輪の中にいた。9月に川村隆史3軍コンディショニング担当がくも膜下出血のため遠征先で急逝。55歳だった。明るい性格で、選手の良き相談相手でもあった。川村さんのユニホームはその後の試合で「ベンチ入り」し続け、リーグ優勝も見届けた。

川村さんは92年に入団。その年に現役引退し「弟子入り」したのが山川周一2軍コンディショニング担当(56)だった。イロハをたたき込まれ、功績の大きさを知る1人。毎年新人が合同自主トレの最初に指導を受けるのが、川村さんだった。「走ることが主流だったが、体の各パーツを鍛えるトレーニングも必要だと選手に分からせて、故障が減っていったと感じてます」。理論や技術に加え、雰囲気作りにたけ、選手に慕われた。「若い選手が次から次へと声を掛けられている光景を見るとすごいと思いました。常に選手のことを考え、時間を惜しまず準備されていましたから」。

2軍の試合でもベンチには「01」のユニホームが掲げられ、リチャードは「川村さん、力をもらいます」と触って打席に向かった。「選手はみんなお世話になっている。メンタル面のフォローでも多くの選手が助けられているはずです」。天国でナインの喜ぶ姿を笑顔で見ていたに違いない。