一振りで今大会の最優秀選手に輝いた。1点を追う延長11回1死満塁から右前にサヨナラ2点適時打を放ち近大を逆転優勝に導いた大杉渉太捕手(2年=東山)は、この打席が今年の公式戦初出場、初打席だった。

送り出した田中秀昌監督(63)も「まさかの大杉が。適時打を打つとは思っていなかった」と驚く活躍だった。3日に下級生たちが出場するチャレンジリーグ関大戦で大杉が適時打を打っていたことと、相手が左投手だったため、出番が来た。カウント1ボール2ストライクからのチェンジアップを右前へ。大杉は「(打球が)落ちると思った。緊張していて、バクバクでした。人生で一番うれしかった」とナインの歓喜の輪にのみ込まれた。阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)からも手荒い祝福を受け「ちょっと怖かった」笑った。

この日は京都から両親も観戦に駆けつけていた。「MVPの記念盾は親に渡します」。守備力を買われ1年春からベンチ入り。この日で正捕手井町大生(だい)捕手(4年=履正社)は引退した。大杉は「1年の時は春秋合わせて4試合出ました。同級生にもいい捕手が多いけれど、レギュラーになりたい」と新チームでのさらなる飛躍を誓った。