ソフトバンク工藤公康監督(57)が、短期決戦のスクランブル起用を試した。12日にペイペイドームでの全体練習で紅白戦を実施。松田宣浩内野手(37)が10年以来、公式戦で守っていない一塁守備に就くなど複数の選手がシーズン中は機会の少ない守備位置に就いた。何があるかわからない短期決戦。起こり得るあらゆる可能性に備えた。

松田宣がいつもと違う姿で、グラウンドに出てきた。ファーストミットを片手に、定位置とは反対方向に走った。3月の紅白戦以来の一塁守備だが、投手に声をかけ、盛り上げるスタイルは変わらない。紅白戦ラストの6回2死では平凡な一邪飛にわざとらしく滑り込み、自ら「熱盛!」と連呼して笑いを誘った。

工藤監督は「試せるところは試していきたい。なかなかノックだけだと見える景色も違うでしょうから。肌で感じてくれたら」と説明。この日は松田宣以外にも栗原が捕手、グラシアルが三塁、川島が三塁、デスパイネが左翼に入るなど、今季あまり守っていないポジションでプレーした。

指揮官は「早めに仕掛けていかないといけないときもある。短期決戦なので。そういうところも頭に入れながら。選手が不安に思って守るのは良くないこと」と、ポストシーズンならでは采配を想定。守備を懸念して代打や代走を積極的に起用できない、などの事態を避ける考えだ。クライマックスシリーズは14日に開幕。昨年10連勝で日本一を勝ち取った「短期決戦の鬼」が、万全の準備でロッテを迎え撃つ。【山本大地】