福留魂継承だ! 阪神ドラフト1位の近大・佐藤輝明内野手(21)が12日、大阪市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1600万円(金額は推定)。背番号は今季限りで阪神を退団した福留孝介外野手(43)の「8」に決まった。目標に新人王と2000安打を挙げ、福留のように球史に名を残すスラッガーを目指す。

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アマNO・1スラッガーが、福留の魂を受け継ぐ。球団から提示を受けた背番号は8。「福留選手がつけていた番号で、すごく光栄なことだなと思います。福留選手は球界を代表する選手。そのような選手になれるように、8番をつけて頑張りたいと思います」。虎を8年間支えた球界最年長、43歳の後継者に指名された。だが、佐藤輝は眉ひとつ動かさずに言い切った。

8は近大で2年秋から背負った番号だ。今年10月の関西学生野球秋季リーグ関大戦では、二岡智宏(元巨人)のリーグ本塁打記録を更新する14号。今月8日に行われた学生最後の試合でもサヨナラ勝利で有終の美を飾った。「今後、長い間8番を付けていって、8番に愛着がわくような息の長い選手になりたい。体のケアだったり、しっかりしていきたいと思います」。来季も現役続行の意思を示し、プロ23年目を目指す福留ばりの長寿を目標にした。

そんな大ベテランの金言もしっかり受け止めた。福留にとって最後のタテジマ練習日だった6日の鳴尾浜。2軍選手たちに「孤独に耐えろ」「限界を作るな」とラストメッセージを贈った。佐藤輝はこの言葉を耳にし「限界を作ってしまうのはやっぱり自分。自分は無理だなと思わずにやっていきたい」と引き締めた。退団する福留とは入れ替わりになるが、同じ右投げ左打ちのスラッガー。胸に刻みプロを戦い抜く覚悟だ。

「ホームランが打てますし(日米通算)2000本安打を打っている方。見習うというか参考になる部分は多いです」。福留はメジャーや日本球界で活躍し、数々の偉業を成し遂げてきた。そんな大先輩のように「歴史に名を残したい思いは?」の問いに「はい。あります」と即答。1年目の目標についても「具体的な数字は分からないですが、新人王を取れるように頑張ります」と宣言した。

年明けの新人合同自主トレまでは、引き続き近大でトレーニングを続ける。魂を受け継いだ背番号8が、タテジマで大暴れする。【只松憲】

◆佐藤輝明(さとう・てるあき)1999年(平11)3月13日、兵庫・西宮市生まれ。甲陵中では軟式野球部に所属。仁川学院では高校20本塁打。近大では1年春からレギュラーで、2年春から3季連続ベストナイン(2年春は外野手、2年秋と3年春は三塁手)。大学ではリーグ新の14本塁打。父博信さん(53)は日体大時代に講道館杯(86キロ級)を制した柔道家で、現在は関学大の准教授。ももいろクローバーZ・高城れに推しで、好きな曲は田中将大のために作られた「吼えろ」。187センチ、94キロ。右投げ左打ち。

◆阪神の背番号8 13~20年は米球界から日本に復帰した福留孝介が使用。63年オフに小山正明との「世紀の大トレード」で大毎から加入した山内一弘、02年オフに日本ハムからFAで加入した片岡篤史ら、移籍組が目立つ。新人ではNTT東日本から入団した01年の沖原佳典以来。

▽阪神渡辺スカウト(佐藤輝の背番号8について)「それだけ期待している選手なので、それにふさわしい番号を球団が用意した。体のケアは大学に入ってからもしっかりとやっている。自分の体にはお金をかけるようにと言っています」