鉄腕が、爽やかにユニホームを脱いだ。今季限りでの現役引退を表明した楽天青山浩二投手(37)が23日、楽天生命パークで引退会見を行った。球団創設2年目の06年から楽天一筋15年。生え抜き初の通算600試合登板も成し遂げた。右腕を支えた家族、恩師、そしてファンへ感謝の思いを言葉にした。本紙楽天担当Twitter(@nikkan_eagles)にも多くのメッセージが寄せられた。

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青山が、すがすがしい表情でマイクの前に座った。「15年やってきたので決断まで時間がかかった。今はすっきりしています」。数年前から宝刀スライダーの曲がりに不満を覚え「伸びしろを感じなくなってきました」。10月14日の2軍西武戦で、登板中に左太もも裏を肉離れ。けがも決断を押した。

右腕を支えた周囲の反応も引退を実感させた。報告を聞いた妻は涙を流していたと明かす。

青山 15年間、僕なりに頑張ってきましたけど、それ以上に支えてもらった。僕からは「お疲れさま」と。妻からも「お疲れさま」と言われた時に、ああ、終わったんだな、野球選手としてもう終わりなんだなと感じました。

高校、大学の恩師からも惜しむ声が続いた。

青山 「まだやれるんじゃないか」と。でも僕はそう思ってくれるだけでうれしい。ここからが終わりじゃなくスタートだと言ってもらえたので、僕もそう思って頑張りたい。

北海道・函館から大学進学のため青森・八戸へ。東北生活は19年目を迎えた。

青山 地元にいた年よりも長いので愛着もわいていますし、思い出も多い。この地で終われてうれしいです。

11年、被災者からの声に力を得た。

青山 「頑張ってください」と逆に言葉をもらった時に、野球をできるだけでも幸せだな、と。どんなつらいことがあっても、何ともないなと思えました。

幾度の修羅場をくぐり抜けた熱い闘志を後輩への言葉に、にじませた。「僕も抜かれないように成績を出してきたつもり。僕の記録を抜けるもんなら抜いてみろと思います」。通算625試合登板、159ホールドはともに球団最多。イーグルスとともに歴史を刻んだ鉄腕は、ユニホームを脱いでも、壁となり続ける。【桑原幹久】