激化するソフトバンクの「ホットコーナー争い」に、未完の大器も宣戦布告だ。今季4年目を迎えたリチャード内野手(21)が、ポスト松田の三塁定位置取りに意欲を見せた。26日、西武山川、森らと汗を流した故郷・沖縄での自主トレを打ち上げ。18、19年のパ・リーグ本塁打王の山川には「プロ1号」を約束。「今年は1軍で活躍します」と、キャンプに向けて鼻息を荒くした。

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悔しさを、バットに込めた。年明け3日からスタートした沖縄・宜野湾での山川、森らとの合同自主トレ。リチャードは師匠でもある山川の打撃練習を取り入れ、懸命に振り込んだ。「山川さんが5種類のティー打撃をやっていて、僕もマネしながらしっかり振ってきました」。軽々とフェンスオーバーする打球に、山川も「やっぱり、お前、すごいな」と舌を巻いたほど。苦手のランニングメニューやウエートトレにも、積極的に打ち込んだ。

「去年より筋力もついたと思います。キャンプはA組という思いで、ずっと緊張感を持って練習に取り組みました」。昨年キャンプでもA組に抜てきされ、3月には育成から支配下登録を勝ち取った。チーム屈指の人気選手だった川崎宗則氏が背負っていた「52」を受け継いだ。だが、1軍へのお呼びはかからなかった。2軍では12本塁打、47打点を挙げ、ウエスタン・リーグの本塁打、打点の「2冠」に輝いた。「今年は1軍に出て、ホームランを狙っていきます」。山川とは「プロ1号」を約束した。

一昨年の春季キャンプで、王球団会長が自ら打撃を指導した期待の長距離砲。打撃のアピールは当然ながら、「三塁定位置争い」にも食らいつく。新たに就任した小久保ヘッドコーチの存在も大きい。ネット記事などで、小久保ヘッドがリチャードの名前を挙げていたことも確認。「まだ小久保ヘッドコーチには打撃も見られたことがないので、早く見てもらいたい」。春季宮崎キャンプでの直接指導も希望した。

「沖縄ではめちゃくちゃ濃い練習ができたと思います」と振り返った。松田、栗原、牧原大、そしてリチャード…。宮崎では、文字通り「ホット」な戦いが繰り広げられそうだ。【佐竹英治】

◆リチャード 1999年(平11)6月18日、沖縄県生まれ。沖縄尚学から17年育成ドラフト3位で入団。米国人の父と日本人の母とのハーフで、兄ジョセフはマリナーズ傘下チームに所属。支配下登録された昨季は1軍出場は果たせなかったが、2軍公式戦72試合に出場。12本塁打、47打点で本塁打王と打点王に輝いた。189センチ、112キロ。右投げ右打ち。

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