夢は正夢になるかもしれない。ロッテのドラフト5位・西川僚祐外野手(18=東海大相模)が、早くもドデカいことをやってのけた。

石垣島キャンプ初日の1日、2軍球場でのフリー打撃で、逆風を切り裂く左翼場外弾を2発放っていたことが、4日までに明らかになった。

無観客ゆえ、目撃したファンは誰もいない。報道陣はその頃、佐々木朗希投手(19)のブルペン投球に集結。2軍関係者しかおらず、左翼後方ではモ~と黒牛が鳴くグラウンドに、衝撃音が響いていた。左翼100メートル地点に、高さ約20メートルの防球ネットがそびえる。西川の高い弾道はそれを2度、越えていった。逆風でなければ、ネットの約30メートル奥にある牛舎近くまで飛んでいたかもしれない。2軍で打ち込むレギュラー陣も度肝を抜かれていたという。

名門・東海大相模では1年夏に4番に座った。高校通算55本塁打。高2秋の関東大会では、痛烈なピッチャー返しに球場のスピードガンが「166キロ」と反応。どよめきとともに、悲鳴さえ上がっていた。永野吉成育成・スカウト部長兼ファームディレクター(52)は「思い切りの良さ、打球の速さは突出したものがあり、そこを評価させていただきました」とドラフト直後に話していた。

同時に「日本人初のレフト場外を夢見て獲得することができました」と、ZOZOマリンでの場外弾を期待していた。キャンプ初日に、早くもその可能性を証明。4日のフリー打撃も、左翼から右翼へ強めに風が吹いた。この日は引っ張らず「理想としています」という右中間への放物線が中心。38スイングで、120メートル級を含む4発の柵越えを放った。

うわさが風に乗ったか、井口資仁監督(46)も3日の練習に足を運んでいた。1日、2日の打撃映像もチェック。「急がせない」としながらも「よければ(11日の)紅白戦でDHくらいで使ってみたい思いは」と抜てきの可能性を口にした。右の強打者育成は大きな課題。同タイプの3年目スラッガー・山口航輝外野手(20)の名を挙げた上で「山口と同じくらい、さらにその上をいくくらいの長距離砲」と期待は大きい。次はどんな逸話を作るのだろう。【金子真仁】