ギャップ投法で上々の実戦デビューを飾った。巨人ドラフト1位平内龍太投手(22=亜大)が11日、紅白戦に紅組の先発。1回無安打無失点1四球の投球を見せた。最速146キロの直球と105キロの縦スライダーの緩急で惑わせた。正面の原監督らに視線を注がれるも緊張はせず。マウンド上では強心臓も私生活では慎重な一面を兼ね備える。期待のルーキーがプロの世界を迷いなく進む。

13球で自分自身を表現した。最速156キロ右腕が最後に投げたのは、105キロの縦スライダーだった。1回1死一塁、3番北村への3球目。初めてのゆるい球で意表を突き、三ゴロ併殺打に切って取った。「今はスピード落としてカーブに近いようなボールとして使ってます。武器になるボールだと思うのでよかったです」と納得の表情を浮かべた。この日最速は先頭松原を中飛に打ち取った内角直球の146キロ。41キロの球速差で打者を翻弄(ほんろう)した。

マウンド上では、四球を与えても動揺する様子は見せず、堂々としていた。原監督らの熱視線を正面から受けても、「緊張はあまりしないタイプなので。今日もあまりなかったです」といつも通り、自らの投球に集中した。

強心臓のルーキーだが、私生活では慎重な一面も兼ね備える。母恵三(えみ)さん(43)は「ふわっとしているというかね。買い物でもなかなか決まらないんですよ」と明かす。今キャンプのために購入したかばんも母にアドバイスを求めた。写真を送り、助言を参考にしながら黒のルイ・ヴィトンのかばんに決めた。進路など、人生を左右する大きな決断は常に悩みに悩んだ。

ただ、プロ野球選手になる道だけは、全く悩むことはなかった。魚住東中の2年、3年の時。クラスメート38人全員の前で「プロ野球選手になります」と迷いなく宣言した。目標は常に明確だった。夢のプロ野球人生は始まったばかり。「今の状態の点数でいくと70点くらい。変化球がいつでも狙ったように投げられるのがプロの世界では必要になる。ツーシームが安定してくればもっと楽になる」。目標の新人王へ、1つ1つ課題を設定し、丁寧に“ギャップ”を埋めていく。【小早川宗一郎】