巨人2軍の“アベンジャーズ”の宮崎キャンプが24日、最終日を迎えた。今季から練習量確保のために夜間練習を復活させ、守備デー、打撃デーをそれぞれ設定して練習メニューにめりはりをつけた。全野手にロングティー打撃を連日最後のメニューに加え、打撃練習の合間にはバーベルを使った筋肉トレーニングを導入。阿部慎之助2軍監督は「飽きさせないように、メニューもやり方を工夫してやらないとね。それもこちらの役割だと思っている」と趣向を凝らした。

野球がうまくなるための鍛錬の場と同時に、容赦ない競争の場でもある。“アベンジャーズ”は映画の世界と違い、ヒーローとまではいかない。1軍ではなく2軍メンバーで、1軍と3軍のはざまにいる。1軍で活躍すれば晴れてヒーローの仲間入りを果たすが、2軍で結果を出せなければ3軍、戦力外が待ち受ける。阿部2軍監督は「評価を示すのは入れ替えしかない。可能な限りやっていく」と予告していた。

2月1日、キャンプ初日の隊員(野手のみ)を紹介したい。

 

◆アベンジャーズ 2021の隊員

山瀬 強肩自慢の2年目捕手「ヤマセ」

松井 球団ではゴジラ以来の松井、ヒデキではなく「ヨシオ」※3軍降格

伊藤海 骨太の肉体をアナコンダと形容。左の長距離砲「コンディー」「アナさん」

菊田 高校時代は常総のバレンティン、右の長距離砲の「キクリン」

立岡 野手最年長30歳。一大ムーブメントを起こしたタピオカから「タピ」

秋広 身長2メートルの新人「アッキー」※1軍昇格

中山 坂本後継者候補。守備位置はショートだが名前は「ライト」

平間 昨季は春季キャンプ1軍に抜てき。俊敏性にたける「キレキレ」

八百板 支配下登録を射程に捉える「タクマル」※支配下登録、1軍昇格

喜多 育成新人唯一の2軍メンバー「キタ」

 

24日間を走り抜いたキャンプ最終日。隊員構成は様変わりした。200センチ超の大型ルーキー秋広優人内野手(18=二松学舎大付)、育成でキャンプインして支配下を勝ち取った八百板が1軍キャンプに昇格。一方で増田大、重信、香月が1軍から2軍に押し出された。

3軍からの突き上げもある。ドラフト6位山本一輝投手(22=中京大)育成10位の山本友輔投手(22=福山大)育成12位の加藤廉内野手(22=東海大海洋学部)が2軍に昇格し、松井、山川、田中優、伊藤海が3軍に降格した。

古川は2軍から1軍に昇格するも2軍に逆戻り。高木は3軍から飛び級で1軍に招集された。沼田、太田が2軍から故障班に、1軍で故障した田口がリハビリから復帰し、3軍、2軍と階段を上がった。

“アベンジャーズ”を構成するメンバーは目まぐるしく変化する。決して安住の場ではない。ヒーローか、戦力外か。運命の分岐点に立っている。阿部2軍監督は「みんな朝から晩まで頑張ったし、それを(東京に)帰ってからも継続してほしい。選手たちには『もっと不安になってくれ』って言った。やんなきゃいけない立場の人間がここにいる。でも、不安になってない。不安にかられないといけない。そのためには向こう(東京)に帰ってからも練習長いよ」とキャンプを総括した。それが分かっているから、指導にも熱が入る。【為田聡史】