日本ハム斎藤佑樹投手(32)が「奇跡」の歩みを、振り返った。26日、沖縄・国頭キャンプを打ち上げた。右肘靱帯(じんたい)の断裂を抱え、プロ11年目のキャンプ。「いろんな意味で、忘れられないキャンプになる。ここまで投げられるのは、僕が言うことではないけど、奇跡に近い」と、かみしめた。

リハビリメニューの1つ、ブルペンでの投げ込みの成果が表れた。キャンプ最終日をのぞく21日間、毎日150~200球を投球。患部に一定の負荷を加え、再生力を高める狙いがあった。球数は約3500球、捕手を座らせて強度を高めた球数は約2000球に到達。「順調に進んでいる。不安なく投げられている」と手応えを実感した。

キャンプ前の予想を、大きく上回る回復ぶりだった。キャンプ中の実戦登板を見据えていたほど右肘の経過は良好。「スピード(球速)を見ても、分かりやすく日々、上がっていた。肘の状態なのか、気持ちのリミッターなのか、それを感じました」。3月中の打撃投手登板を見据え、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷でリハビリに励んでいく。

充実感に満ちたキャンプ。右肘手術でリハビリ中の後輩の玉井から刺激を受けるなど、復帰に向けて貪欲に吸収することもあった。「最終的な目標はチームが優勝して、その戦力になること。そこに向けて少しでも、自分の力を出せるように」。誓いを胸に、歩みを進めていく。【田中彩友美】

<日本ハム斎藤の春季キャンプ歩み>

1日 国頭での2軍キャンプ初日、一番乗りの午前9時半にブルペン入り。2度の小休止を挟んで200球を投じた。

9日 リハビリの一環で、約200球の投げ込みを継続。球速は約120キロを計測した。

12日 栗山監督が2軍キャンプを視察。ブルペンでの斎藤の姿に「ああいう表情で野球をやっているのを見ると、涙が出ちゃう」。

19日 名護での2軍練習に参加。ブルペンで約200球を投げ、肩と肘への負担を減らした新フォームに手応え。「いい方向にいってくれると思う」。

24日 名護での2軍練習で栗山監督が見守る中でブルペン入り。21日に解禁したスライダー、チェンジアップ、フォークを織り交ぜ、約150球。力を入れた球は約130キロをマーク。