阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が、日米143勝のソフトバンク和田毅投手(40)をうならせた。

オープン戦に2番左翼で出場。ベテラン左腕に3打数無安打2三振に倒れたが、3球三振、12球粘っての三振、捉えての二直と打撃内容が進化。和田に「ルーキーとは思えない対応力。次の対戦は怖い」と舌を巻かせた。ただでは転ばない。交流戦での対戦(6月4日~甲子園)に向け、強烈な先制パンチとなった。

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怪物ルーキーが百戦錬磨のベテランをビビらせた。3回2死走者なしの第2打席。和田とこの日2度目の対戦だった。2ボール1ストライクから7球連続でファウル。すべてフルスイングで食い下がった。直球にキレのあるスライダーを混ぜられてもバットに当てる。12球目。低めのチェンジアップにバットが空を切ったが、左腕をうならせた。

和田 いいところに投げたつもりだったけど、ついてくる。すごいなと思った。簡単にはいかないなと。内角に投げ込んだ球も見極められた。最後はチェンジアップを振ってくれてよかったと思っている。

日米通算143勝で、メジャー経験もあるベテランはそう振り返った。5回2死一塁の第3打席では、追い込まれながらも外角低め138キロ直球をジャストミート。結果は二直も、痛烈な打球を放った。「紙一重だった。もう少し(投球の)球が高かったら右中間を抜く打球だった」と和田に冷や汗をかかせた。

佐藤輝本人は「球もキレがあってストレートだったり変化球の質もすごく良かった」と脱帽したが、和田はこう表現した。「柳田以上の1年目の結果を残すかもしれない」。ソフトバンク主砲の柳田は、佐藤輝と同じ大卒でプロ入り。新人年は2軍を中心に経験を積む時間にあてたため、単純比較はできないが、日本を代表するスラッガーと同等以上のポテンシャルがあると太鼓判を押された形だ。

初回の第1打席は3球三振で手玉に取られたが、第2打席は12球を投げさせての三振。第3打席は捉えた二直と打撃内容が進化。和田は「対戦するたびにアジャストしてくる。ルーキーとは思えない対応力を感じた。次の対戦は怖い。ポテンシャルを秘めた打者」と6月の交流戦での対戦を見据え、警戒警報を出した。

この日はシーズンを見据えた左腕対策で、スタメン9人中8人の右打者を並べた。ただ矢野監督は佐藤輝は外さず、唯一の左打者とし起用した。「いろいろなピッチャーと対戦するのがあいつのためになる」。3打数無安打2三振でも、プロで18年間投げ抜いてきた左腕との対戦は成長の糧になる。

佐藤輝は表情を引き締めた。「今日は打つことができなかったけど、いつか当たることがあれば頑張ります」。甲子園で戦う交流戦で、恩返しのリベンジを決める。【只松憲】

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◆和田の1打者12球 阪神佐藤輝が3回の第2打席で、ソフトバンク和田に12球を投げさせた。和田の公式戦での1打者12球は、16年の日本球界復帰後最多で2度ある。17年9月26日ロッテ戦2回角中=遊ゴロと、20年8月26日オリックス戦1回大城=一ゴロ。計1429人の打者に対し投球数5774で、1打者あたり4・04球。1打席10球以上は20度ある(16年9度、17年2度、19年2度、20年7度)。