ユニホームから白衣へ-。東北大硬式野球部(仙台6大学)の医学部医学科コンビが昨季限りで引退し、今春からドクター研修を本格化させる。リーグ通算5本塁打の4番桜井優宏内野手(4年=豊中)は整形外科医、最速140キロ右腕の福岡涼投手(4年=淡路三原)は小児科医になることを夢に描く。昨秋のリーグ戦では99年以来21年ぶりの3位Aクラス入りに貢献。大学野球のラストイヤーに花を添えた。4月スタートの5年生からは本格的な実習がスタート。医師への道を進む。

  ◇   ◇   ◇

福岡は幼い頃から医師への憧れが強かった。淡路島(兵庫)で生まれ育ち、「小さい頃に診察してもらった、70歳くらいのおじさん医師が格好良かった」と、小児科医を志すようになった。「田舎育ちで家が裕福ではない。医者になって親にも恩返ししたい」と親孝行の思いも強くする。

大学野球のスタートは3年夏と遅かった。「高いレベルでやってみたかった。硬式をせずに社会人になるのがもったいない気がした」。小学3年から中学までは軟式野球、淡路三原では学業に専念するため帰宅部を選んだ。東北大では最初、軟式野球サークルに所属。1年半前に初めて硬式球を握ってから、最速は140キロに到達。昨秋リーグ戦では「最後の公式戦なので、満足して終わりたかった」と5試合に登板し5回1失点、防御率1・80の好成績を残した。

現役合格も3年時には留年を経験した。薬の作用基準と感染症の微生物の暗記に苦戦を強いられ、「内容はやっぱり難しくて、覚えられなかった」と医学の道は一筋縄ではいかないが、「4年生は順調です。同じ過ちは繰り返さない」と誓う。4月からは本格的な実習が始まる。夢に向かって精進する。