プロ野球ファンが待ちこがれていた。4球団が競合した19年ドラフト会議から512日、ロッテ佐々木朗希投手(19)の快速球がついにお披露目された。12日、オープン戦中日戦(ZOZOマリン)で6回に中継ぎ登板。1奪三振を含む3者凡退で実戦デビューを飾った。最速163キロ右腕は現時点では153キロ止まりも、プロの上位打線に堂々と投げた。佐々木朗希の物語が、再び動きだす。

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静寂のマリンにミット音がはじけると、佐々木朗希は射る目をした。152キロで中日ビシエドを見逃し三振に。右足が地面に着地すると、そのまま一塁側ベンチへ歩き出す。京田、阿部の内野ゴロに続き、3者凡退の満点デビュー。4966人の温かい拍手と笑顔の先輩たちに迎えられれば、表情もほころぶ。ベンチ裏では「超楽しかったです」と小声で興奮した。

誰よりも自身が待ち望んだ。「すごく楽しかったですし、今こうやってプロ野球選手としてマウンドで投げて、野球ができていることをすごく感謝しています」。ファンに見つめられての投球は約1年半ぶり。大好きなあいみょんの登場曲もテンションをさらに上げた。「マウンドから見た景色にすごく興奮しました」とデビューを実感した。

ついに動きだした。プロ1年目は未登板。シート打撃で160キロを投げたが、耐えられる体ではなかった。右腕、右肘と強い負担が続いた。1軍に帯同されての肉体強化にほぼ終始。雑音も聞こえる中、今の役割を貫いた。「去年の1年間は、すごく意味のある1年間だったなと思います」の言葉が全てだ。

160キロを出す時ではない。タイミングとバランスを最重要視し、冷静にデビューをこなした。「時間がたつにつれてスピードは出てくるものと思うので、出たイコールハッピーではないので、そこは抑えることが大事なので」。それでも全12球中11球が直球で、うち9球が150キロ超。スピードはいつでも出せる。2年前には、年明け初ブルペンのわずか9日後に163キロを投げている。

こだわりも見せた。投球練習の初球、スライダーを投げた。井口監督を「もともと指先の感覚がいい。(練習の)初球からスライダーを投げる投手ですから」と驚かせた。高校時代、初回の投球練習はスローカーブから。我は貫く。次回は1週間ほど空けてから、再び1軍で。「少しずつ内容にもこだわっていけたらなと」。第1歩を無事着地できたことに、何よりの価値があった。【金子真仁】

▽ロッテ吉井投手コーチ(佐々木朗の初登板に) 今日はあそこに立って、元気な姿を見せるのが彼の目的だったので、機嫌良く投げてくれてよかったです。

▽ロッテ田村(佐々木朗の投球を受けて) コントロールも良かったし、スピードも出ていて良かったと思います。

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