通算2000安打まで74本に迫る西武栗山巧外野手(37)が、20回目の開幕を前に日刊スポーツに手記を寄せた。積み重ねたヒットは1926本。西武一筋の「ミスター・ライオンズ」が、球団史上初となる生え抜きでの達成にかける思いを語った。

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日刊スポーツ読者の皆さん、こんにちは、栗山巧です。開幕を前に、この場をお借りして新シーズンにかける思いを語らせていただきます。

今季、僕は20度目の開幕を迎えますが、何度やっても気持ちは変わりません。今年1年どうなるかという期待と不安が入りまじる。それに今年は2000本という節目のヒットを打てる年になるかもしれないという違った緊張感を、オープン戦から感じていました。

数字を出して、みんなから信頼を得た形で開幕を迎えたい、そういう思いがありました。やっぱりしっかりと数字を出して「栗山に開幕からいってもらいたい」と思ってもらいたいじゃないですか。ただ、そうは言っても、数字だけ追いかけてもオープン戦の意味がないんで。ケガをしないというのと両面でやりつつ、無事オープン戦を終えられるのかなっていう変な緊張感がありました。

正直言うとオープン戦での数字(打率3割5分9厘、14安打)は、ここまで求めていませんでした。逆に数字が残りすぎると違和感があるというか不安にもなる。ただ僕には09年の経験があるんで大丈夫だと信じています。あのときはオープン戦打率4割で、開幕26打席連続無安打。そのときは、きっと勘違いしてたんですよね。「このままいけば打てる」と思っていた。今はなんぼオープン戦で打っても公式戦とは別物だと思っている。投手の球も違う。ペナントから勝負のステージになる。そういう気持ちです。

バッティングというのは、つかみかけたと思ってもすぐに離れていくもの。つくづく思わされています。昨年1年やってきたことが土台になってくると思っていたんですけど、なんかちゃうな、修正しないといけないなと思いながらオープン戦を戦っていました。技術的にはまだまだ課題が残っていて、もっと目指していかないかんなっていうのがある。でも「なんか違うな」っていう感覚でペナントに入っていくのはいいと思う。もっとよくなれる。内容としてもっと質の高い打球が出せる。いや、出せるようにしていかなダメなんです。

2000本というのは変に意識せずいつも通りやっていきたい。中軸の後ろを任されれば、勝負どころで回ってくるのは間違いない。そこで打つっていう集中力を持ってやっていれば、自然と近づいていくと思っている。1本欲しい欲しいって欲しがってばかりじゃ崩す。そういう状況には陥りたくない。ベストは全然欲しがらんといたって普通に打てる球を打ちに行く。

願わくば、ファンの方がいるこのメットライフドームで達成できたらうれしい。けど、本音は打てるかどうかすら分からへんのにそんなぜいたく言われへん。だって入団したルーキーが「ホームで初ヒット打ちたい」なんて言わないじゃないですか。打てたらどこでもいい。どこで打つかは、神様が決めるもんやと思うんです。1本1本の積み重ねという気持ちは変わらず、結果的にそうなれば言うことなしですよね。(西武外野手)

 

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