移籍後初勝利を目前で逃しても気丈だった。3月に巨人からトレード移籍したヤクルト田口麗斗投手(25)が、古巣相手の初マウンドに立った。

ストライク先行のテンポ良い投球で7回を88球、5安打無失点6奪三振。後を受けた清水、石山がそれぞれ失点し、9回に同点に追いつかれて白星は逃したが、試合後のZoom取材では「チョリース」と登場。悔しさを押し殺し、明るく振る舞った。

1回。今までとは違い、三塁側からマウンドへ向かった。投球前にはマウンド後方にかがみ、指で「勝」と書いた。巨人長嶋茂雄終身名誉監督がチームを鼓舞する言葉で、気持ちを高めた。「特別な感情があるのは当然だと思う。いろんなことが込み上げてきますが、とにかく1人1人全力で抑えにいきたい」と覚悟を決めて1球目を投じた。

坂本や同年代の岡本和、丸…。「手を抜ける打者はいない」居並ぶ猛者たちとの勝負。「意識した中でどれだけのピッチングができるか。これから何試合も対戦する中で、いつもと同じようにマウンドに立てるように」と平常心を心がけた。6回1死一、二塁では岡本和を、7回1死一、二塁ではトレード相手の広岡を打席に迎えた。ともに併殺打で切り抜けると力強く左拳を握った。冷静さの中の闘志を、むき出しにした。

移籍後初登板となった3月27日阪神戦は、2回1/3を6失点。中6日の間で、伊藤投手コーチとカットボールを改良し「真っすぐの高さのラインを全体的に下げることができた」とうなずいた。勝利こそ逃したが、表情は決して暗くない。「(投球の)バリエーションを増やしていかないと、この先も戦っていけない。今日は1つ引き出しが増えたかな」。“ヤクルト田口”として、さらなる進化を遂げ、次もマイペースに古巣を封じて、白星をつかむ。【湯本勝大】

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▽巨人原監督(ヤクルト先発田口の投球に) いいピッチングされたし、良さ、いいところを知っているだけにね。(打者は)いいところを狙っちゃったんだろうな。