阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が、公式戦初の伝統の一戦を前に力強くG倒を誓った。6日からの巨人戦が今季の甲子園開幕ゲーム。打率1割台で4日の中日戦は初めてスタメンを外れたが、復帰が濃厚で「一番の敵」と気合を入れた。日刊スポーツは、佐藤輝が仁川学院(兵庫)1年時に描いた「甲子園の絵」を入手。高校時代は近くて遠かった憧れの舞台に立ち、会心アーチで打倒巨人を果たす意気込みだ。

   ◇   ◇   ◇

これも巡り合わせなのか。佐藤輝にとって、永遠のライバル巨人戦が、シーズンでの甲子園デビュー戦となる。「今までとは違う雰囲気だと思う。しっかりその雰囲気を楽しみたい」。伝統の一戦の重みを肌で感じつつ、でも「楽しむ」とはやはり並の新人ではない。チームは昨季、巨人に8勝16敗と大きく負け越し、V逸の要因にもなった。「一番の敵。上に行くためには勝たなければいけない相手」。巨人を倒さなければ、16年ぶりの優勝はない。22歳が熱い誓いを立てた。

打率1割台で4日の中日戦は開幕9戦目で初めてスタメンを外れた。だが、代打でバットを折りながら、京セラドーム大阪の右翼フェンスギリギリまで飛ばした。巨人の3連戦初戦は右腕のサンチェスでスタメン復帰が濃厚。2戦目は右腕の畠で、3戦目は左腕高橋だが3月のオープン戦で、甲子園の左翼ポール際へ決勝弾となるソロを放っており、再現が期待される。

佐藤輝は仁川学院1年時に描いた甲子園の絵を兵庫・西宮市の実家に飾っている。美術の時間に「16歳の自分」をテーマに好きなことや目標を、自由に描いた。手先の器用さを発揮し、一塁側観客席方向から、満員の甲子園やスコアボードを細かく描写。黒土の内野を狭く、広い外野の天然芝を緑と黄緑の2色で大胆に描いた作品だ。真っ青ではなく、どこか切ない色の空に向かって泥だらけの球児が天を仰いでいる。

家族によると、佐藤輝本人は「描いたことは覚えているけど…」と、当時どんな思いで描いたかは覚えていないという。激戦区の兵庫で、1年夏に初戦敗退を経験した後にこの絵を描いた。憧れの球場だったことは想像できる。2年夏は2試合勝ち4回戦まで進出したが、最後の夏は1回戦で県立の明石清水に1-11で5回コールド負け。甲子園は近くて遠い場所だった。

阪神入団で甲子園が本拠地になった。思いを込め、オープン戦5試合は3本塁打を含む打率4割3分8厘、5打点と大暴れした。コロナ禍で年間指定席を持つファンしか生観戦できないが、首位攻防3連戦は全国的にも注目度が高い。「しっかり自分のプレーに集中して、勝ちに貢献したい」。夢を描いて7年…。G倒アーチで願いをかなえる時が来た。【石橋隆雄】