主砲の1発が、慶大打線に火を付けた。1-0の4回先頭で、4番の正木智也内野手(4年=慶応)が今季1号、現役最多タイの通算7号となるソロを放った。左中間席中段へ、大きな放物線で運んだ。「ホームランを狙ったわけではありませんが、捉えた瞬間にいったと思いました」と胸を張った。法大・山下は「正木の1発から崩れました」。この回、さらに1点を奪い、4回3失点でKOした。2番手以降の投手からも得点を重ね、快勝だ。

今季初戦となった前日は、法大・三浦から内野ゴロの間に1点を奪っただけで、「ノーヒット・ワンラン」の珍記録を献上してしまった。試合後、堀井哲也監督(59)は映像やスコアを見返した。無安打とはいえ、6四球を選んだことに着目。朝の打撃練習前、選手たちに「四球を出すことのない三浦君から選んだ。それだけ、甘い球を振ったからだ。何も変えることはない」と伝えた。「選手は打てないと疑心暗鬼になりますから」。

監督の言葉に、正木は「少し気持ちが楽になりました」。2回の第1打席はインハイ147キロに詰まらされ、三ゴロだった。第2打席も内角攻めを覚悟。だが、カウント3-0から「打ってもいい」のサインでファウル。「1球振って、甘いインコースが来ました。1打席目でインコースを攻められたこともあって、反応出来ました」と、特大ソロにつなげた。

大砲として、ドラフト候補にも挙がる。「目標は高く、計5本(塁打)は打ちたい」と宣言した。【古川真弥】