青学大は勝てば中大と並ぶ首位タイだったが、守りのミスもあり、敗れた。その中で、1年生のバットが目を引いた。5番三塁の佐々木泰内野手(1年=県岐阜商)だ。

「スーパールーキー」の呼び声も出ている。2試合連続本塁打で迎えたこの日は、右前打、左中間二塁打、左飛、中飛で、3戦連発こそ逃したが、3試合連続マルチ安打。通算11打数6安打、打率5割4分5厘と打ちまくっている。

2回の右前打は、初めて逆方向へ放った安打だった。「2ストライクと追い込まれて、外ギリギリに来たので、うまくバットを出せました」と振り返った。木製バットを苦としない。高校野球引退後、鍛治舎監督の計らいで、高校で練習を続けた。そこから木製バットを握った。その際、鍛治舎監督から「まずは振ること」と金言を授かった。

「最初はバットが折れました。芯を外れると飛ばないので、少し当てにいく打撃をしてしまいました。ヘッドが負けて打球が飛ばないことがあった。打つ、打たないよりも、振ることを意識しました」。監督の言葉で意識を変えたことが転機となった。

成果は、折ったバットの数に現れた。昨夏の引退から今年2月中旬まで高校で練習したが、その間に折ったバットは4本。青学大に合流後、3月初めまでに折ったバットは3本。ところが、この1カ月あまりは1本も折っていない。「感覚をつかめました」。

中大の捕手は、ドラフト候補に挙がる古賀だった。初対戦の佐々木をどう抑えるか、味方の攻撃中もベンチで頭を巡らせたという。「対戦してみたら、思っていた以上のバッティングでした。全球、打ちにきてて、直球も、変化球も芯で捉える。いいスイングをしてますね」と認めた。

佐々木は2回、失点につながる悪送球を犯した。「エラーをするのは、技術もあるけど、精神面で強くならないといけません」と表情は硬かった。全ての経験を糧に、スケールの大きな選手になる。そんな期待を抱かせる。【古川真弥】