楽天松井裕樹投手(25)がプロ野球史上最年少で史上16人目の通算150セーブを達成した。史上16人目の大台は25歳7カ月で達成。DeNA山崎の26歳9カ月を上回り、年少記録を更新した。

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どんな日も、忘れられない味がした。松井にとって抑えの醍醐味(だいごみ)とは何か。試合を締め、はじけるスタンドとベンチから出迎えてくれる仲間。「僕が仕事を成し遂げた瞬間から、みんなが勝利を味わう瞬間が始まる。いろんな人がワッと喜んでくれる。その瞬間に立ち会えるのはこれ以上ないやりがいですね」。誰もが待ちわびた勝利の美酒に酔う、その宴を始めるのが役割だ。

昨年、新人以来の先発に再挑戦した。東京五輪を目指しての決断が根底にあった。「短いイニングだけじゃなく、長いイニングも投げられれば、日本代表でも貢献できるじゃないですか」。求められるならば、便利屋としてでも献身的に尽くす覚悟があった。

誰かのために投げる。その姿は先人に学んできた。「少しダサいかもしれないですけど」と前置きすると、「僕はブルペンは絆だと思っています」と言った。

「僕がそうやって教えてもらってきたから。青山さんや久保さん、福山さん、先輩方が本当に目をかけてくださった。長いシーズンで打たれることもあります。そういう時、ベンチに戻ると先輩方が必ず声をかけてくれました。励まし、迎えてくれる言葉に支えられたし、ブルペンが1年間戦える強さだと教わった」。

マウンド上だけじゃない。勝利のために、立ち居振る舞いでチームを支えることが、先輩としての役割だと焼き付けた。だから「僕も後輩にそういう楽天の絆を伝えていきたいです」と受け継いだ思いを秘める。

174センチの体に集まる球場中の祈り。託される声援は「力になります」と力強い。「150セーブは自分1人の力じゃ絶対にできないこと。だから僕は勝利のため、チームのため、家族のため、応援してくださるファンの方のために、腕を振り続けます」。数字はまだ積み重ねていく。支えてくれる人と日本一の美酒を味わうために。【14、15年楽天担当=島根純】

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