広島森下暢仁投手(23)が、7回3安打無失点、今季最多127球と熱投した。ヤクルトに自己最多の6四球を与えるなど制球を乱して毎回走者を許しながらも、崩れることはなかった。打線の援護がなく4勝目はお預け。試合は引き分けに終わったが、森下自身は神宮では4試合で2勝0敗と不敗神話は継続した。

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打線に流れを呼び込むべく、森下は最後まで懸命に腕を振り続けた。最速152キロを記録した伸びのある直球は、最後まで球威が落ちることはなかった。127球の熱投で、7回無失点。先発として十分な役割を果たしたものの、勝ち星は巡って来なかった。

立ち上がりから苦しんだ。初回先頭の山崎に四球を許し、2死から村上にも四球。何とか無失点に抑えたものの「テンポも悪く入ってしまって、点を取られていないのに、苦しい投球をしているような感じがあった」と振り返った。2回以降もボール先行が続き、安打こそ3本にとどめたが、自己最多となる6四球。毎回走者を背負い、「とにかく点を取られないということだけを意識していました」と我慢を続けた。

最大のピンチは7回。1死から四球、安打で得点圏に走者を進められた。球数はすでに100球を超え抜け球が目立ち始めた中、山崎を150キロ超の直球で押し込み右飛に。2死二、三塁から中村は内角への150キロ直球で二飛に封じた。最後まで本塁を守り抜いた右腕は「点を取られたら流れもあっちに行ってしまう状況だったので。何とか抑える事ができて良かった」と胸をなで下ろした。

佐々岡監督は「制球に苦しんでいたけどね。それでも粘り強くゼロで抑えてくれた」と評価。打線が20イニング連続無得点で無援護に終わっただけに「こういう状態なので、1点もやれないという思いからコントロールを狂わせたのかな。でも辛抱強く投げてくれた」と目を細めた。

「ゼロでいけたのは良かったんですけど、次は初回から相手がテンポ悪くなってくれるよう、自分がリズムつくれるようにやっていきたい」

ここまで7試合で3勝3敗ながら、防御率は1・84で、明大の3学年先輩にあたる中日柳に次ぐリーグ2位に浮上した。神宮では4試合目で2勝負けなしと不敗神話は継続。今季4勝目は次戦に持ち越しとなったが、堂々の熱投だった。【古財稜明】