20季ぶり2度目の優勝を飾った国学院大の山本ダンテ武蔵外野手(4年=大阪桐蔭)が、MVPに初選出された。17打点、5本塁打で2冠に輝いた。「(タイトルは)そんなに気にしていなかったです。やり切った結果が2冠。3冠がとれなくて悔しいとかは思わない。勝利に貢献できたことがうれしい」と話した。

「野球は、大学で終わりにしようと思います」。昨年の冬、鳥山泰孝監督(45)に告げたことがあった。このまま野球を続けるのか、やめて就職活動をするか、進路に悩んでいた。

アメリカ人の父を持つが、日本で生まれ育ち英語を話せない。「英語を話せたらプラスになる。力をつけないといけない。(英語は)苦手なレベル。出来ないことをやることが好き。できないことに挑戦したい」と昨年6月から、英会話に通い始めた。コロナ禍のため今は休止中だが、憧れたのは日本だけにとどまらない仕事。「世界の視点で動いてみたい。海外でバリバリ仕事をしてみたい」と目標を掲げる。

思わぬ再発見があった。今年3月上旬のオープン戦で右ふくらはぎ肉離れとなり、試合から離れた。約1カ月後、久しぶりに出場した練習試合は4打数無安打。1本も打てなかった。それでも「悔しくて、楽しい。自分は野球が好きなんだ」と本当の気持ちに気付いた。鳥山監督に「やっぱり野球がやりたいです」と伝え、社会人で続けることになった。

大阪桐蔭では根尾(中日)、藤原恭(ロッテ)らの1学年上。プロに行くことの難しさは十分に感じていた。高校通算は15本塁打。鳥山監督は「(高校時代に)スラッガータイプではなかった。想像を超えた成長をしてくれた」と目を細める。

全日本大学選手権(6月7日開幕、神宮ほか)に初出場する。武蔵の名前の由来は、アメリカ人の父が相撲をよく見ており、武蔵丸が好きだったから。「やったことがないので、東京ドームで試合をしてみたい。全国(大会)は楽しいだろうなと思います」。国学院大の武蔵が挑む次の舞台は、全国だ。