左翼手が捕球するのを確認すると、両手を広げて喜んだ。巨人横川凱投手(20)が9回を3安打無失点で自身初の完封勝利を挙げた。

9回2死満塁、「うおりゃ!」と声を漏らしながら小川を左飛に仕留めた。「最後は自分で投げきりたいという気持ちがありました」とすがすがしい笑顔を見せた。

指揮官の期待に応えた。2点リードの9回、四球と二塁打で無死二、三塁のピンチを背負った。ブルペンではビエイラが肩をつくる中、阿部慎之助2軍監督(42)は「代えるのは簡単」と動かなかった。「やっぱりそこを乗り越えた完封だから価値がある。ピンチを自分で抑えて勝ったから、余計に価値があると思う」。1死二、三塁からは、大阪桐蔭時代の同期、ロッテ藤原を空振り三振に仕留め、立て直した。

最速142キロの直球に130キロ台中盤のカットボールを織り交ぜ、的を絞らせなかった。6回先頭に安打を許すまで完全投球を披露。周囲の期待は高まる中、横川は「どちらにしろ1本出るかなと思っていたので」と冷静だった。6回以降は3イニングで得点圏に走者を背負ったが、好守で自身を救った。8回無死一塁、強めの犠打が一塁線に転がるとバックハンドで捕球し、そのまま一塁にグラブトス。1死三塁からはマウンドの手前で高く弾んだ打球を大ジャンプで捕球し、本塁で刺殺した。「1人1人、1球1球をしっかりと投げるというのをテーマに置いていたので、その積み重ねがこういった形に現れたので良かった」とうなずいた。

今季8試合に登板し、負けなしで早くもリーグ単独トップの5勝目をマーク。「チームの皆さんの援護があってのことだと思うので感謝したい」と謙虚に受け止め「少しでも早く1軍の舞台に立って、チームの優勝に貢献できるように頑張ります」と先を見据えた。今季開幕ローテーション入りを争った高卒3年目左腕が、1軍のマウンドを目指してメキメキと力を付けている。【久永壮真】