広島が2桁安打2桁得点でロッテに打ち勝ち、「日本生命セ・パ交流戦」初勝利を挙げた。鈴木誠や菊池涼を欠く打線を12日ぶりスタメン復帰の広島松山竜平外野手(35)が引っ張った。同点打を含む2安打4打点。1軍チーム最年長の意地を見せた。

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風速9メートルの逆風もものともしなかった。2点を追う3回1死二、三塁。松山がロッテ先発鈴木の浮いた変化球をとらえた打球は勢いを失うことなく、中堅フェンスを直撃した。2人の走者を本塁に迎え入れる二塁打で、同点に追いついた。12日ぶりにスタメン出場した男のバットが試合の流れを引き寄せた。

「前の打席、チャンスで悔しい結果だったので、何とかしたいという気持ちでいきました」

1回1死三塁で凡退した悔しさを、その後の打席でバットにぶつけた。3打席目は勝ち越しに成功した4回。1死満塁からスライダーをしぶとく三遊間に転がし、遊撃内野安打の適時打でリードを広げた。5点差から2点差に迫られた6回は無死三塁ではきっちりと犠飛を打ち上げた。3年ぶりの3番で大きな得点源となった。

チームはコロナ禍に見舞われ、19日までの巨人2連戦は球団独自の濃厚接触者として自宅待機となった。スタメンは16日DeNA戦以来。ブランクを感じさせず、2安打4打点を記録した。主砲鈴木誠も、リーグ首位打者菊池涼もいない。今季不振だった選手や若手がスタメンに名を連ねる打線で、2桁安打2桁得点をたたきだした。1軍チーム最年長は「とにかく点を取らないといけないので。4打点を挙げられて良かった。明日からもしっかり、1打点でも多く挙げてチームに貢献できたらと思います」と胸を張った。

ロッテに打ち勝ち、交流戦初勝利だ。佐々岡監督は「先制された中で打線がつないでつないで。みんなこういう状況の中で1つになって戦う姿勢が出た」と束になる攻撃に賛辞を送った。前日は西川が打線をけん引し、この日は松山が引っ張った。「こうやって、皆がいない時にも勝っていければ。明日からも今日みたいな打撃をできればと思います」。誰か1人ではなく、全員で。中軸とチャンスを得た選手がいい形でかみ合い、広島に好循環が生まれている。【前原淳】