あこがれのユニホーム、あこがれの舞台は格別だった。慶大・浮橋幸太投手(1年=富岡西)は0-0の5回から2番手で登板し、3回2/3、3安打無失点。味方の得点で勝利投手となった。「打者を信じて、自分の仕事をやろうと。(神宮のマウンドは)硬さがあっていて、すごく投げやすかったです。打者も近く感じました」と笑顔で話した。

19年センバツに21世紀枠で出場した。1回戦で敗れはしたが、その大会優勝の東邦を相手に、128球完投、9安打3失点。石川(現中日)と堂々と投げ合った。

高校を卒業し、さあ、次は神宮で、と慶大を目指したが、入試に失敗。地元の徳島・阿南を離れ、大阪の予備校に通った。勉強の合間に軽く走ったり、素振りやシャドーピッチングをしたりが、せいぜい。本格的なトレーニングはおろか、キャッチボールも半年以上、できなかった。それでも、くじけなかった。「同世代の活躍を見て、自分も頑張ろうとモチベーションを保ちました」と、1浪の末に慶大合格。春のリーグ戦デビューは逃したが、落ち着いた投球で公式戦デビューを果たした。

「グラウンドに立たせてもらった責任があります。これからも、しっかり頑張りたいです」と真っすぐ前を向いて話した。