日本ハムのドラフト1位、伊藤大海投手(23)が菅野に投げ勝って3勝目を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」の巨人戦に先発。プロ入り後最速の153キロをマークした直球を軸に7回を2安打1失点に抑えた。菅野の投球を体感できた打撃は2打数無安打も、成長へのヒントなど多くの収穫を得た。今後への自信を深めたルーキー右腕の活躍で、チームは8カードぶりの勝ち越しを決めた。

   ◇   ◇   ◇

自分に課したプレッシャーを力に変えた。1点リードの6回2死一塁。伊藤は亀井へ「ウオリャ!」と147キロ直球を投げ込んだ。カウント2-2からの5球目。ボール球となってフルカウントとしたが、強い気持ちは折れない。最後はスライダーで空振り三振に仕留め、ガッツポーズ。「相手の先発が菅野さん。意地でも先にマウンドを降りないんだという気持ちを持って投げ切りました」。7回まで東京ドームのマウンドに仁王立ちした。

投げる度に進化している。この日は前回登板から導入した2段モーションを継続も、微妙にタイミングをずらし、打者を幻惑した。「2段モーションが、はまってきている」と、直球はプロ入り後最速となる153キロを計測。伸びとキレがある真っすぐは、全106球のうち50球と、約半数を占めた。ストレートでグイグイと押す気持ちのいい投球で7奪三振。「形に走ってどう抑えようかではなく、根底の部分として絶対に抑えてやるんだという気持ちが最終的には大事」という本質も貫いて、自身初の連勝につなげた。

さらなる成長へ最高の経験もした。2度立った打席で対戦したのが菅野。「すごいっす」。3回の第1打席の3球目。見逃したスライダーは体の外から曲がってストライクになった。高精度のバックドアを体感して思わず笑みもこぼれた。

伊藤 本当にギリギリのところから入ってきた。今まで見たことのないというか、やっぱ違うんだなと感じました。(すごみを感じたのは)スライダーどうこうではなくコントロール。(第2打席の)最後、フォークボールも投げていただいて、すごかったです。

先にマウンドを降りたのは菅野だったが、5回を無四球。伊藤は7回4四球だっただけに、ストライクゾーンを支配するような巨人のエースの投球術に学ぶ部分は多かった。

チームは8カードぶりの勝ち越し。「勝ってかぶとの緒を締めるじゃないですけど、次にまたいい形で向かっていけるように明日から準備したい」。伊藤が歩むエース道が軌道に乗ってきた。【木下大輔】

▽日本ハム栗山監督(菅野に投げ勝って3勝目の伊藤に)「若干楽しむくらいの対決をしていた。ワクワクしたように見えたし、素晴らしかった」

日本ハムのニュース一覧はこちらー>