オリックス宮城大弥投手(19)が7回13奪三振の快投で、チーム最多の6勝目を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」は初顔合わせの巨人打線を7回2死まで無安打無得点に封じた。97球目を岡本和に特大アーチにされたが、この1安打のみの1失点で自身初の2桁奪三振。昨年11月6日、プロ初勝利を挙げた日本ハム戦以来の本拠地勝利で、前日8日からファンが戻ったスタンドを沸かせた。19歳の活躍で、チームは借金を1とし、交流戦3位タイに浮上した。

   ◇   ◇   ◇

今や投げるたびに、宮城は球史に名を残す。日本ハム・ダルビッシュ(パドレス)、楽天田中将、同釜田に続く交流戦・巨人戦の10代先発勝利投手に。それも7回2死から岡本和に5階席弾を打たれるまで、巨人打線を無安打無得点に抑えての快投、快勝だった。

宮城 失点がゼロというのは気づいていたんですが、ヒットが(ゼロ)というのは気づいてなかったです。(4回2死から四球で)ランナーを出していたので、ヒットを打たれたというかそういう感覚がありました。

記録の呪縛など無縁で、1人1人の巨人打者に立ち向かった。だが、痛恨の1発を浴びた相手は、だれより警戒していた岡本和だった。

宮城 丁寧に行ってしまって。もっと強い球を投げておけばよかったかなと。(無安打無得点試合は)できればしたかったですけど、もっと先だと思います。

謙虚に悔しがったが、3回の3者連続見逃しを含む13奪三振。「トライさんが打者の狙いの裏をついてくれた部分があるのかなと思います」と伏見に感謝も、多彩な変化球が圧倒的な投球の支えだ。

普段は、150キロを超える直球に加え、110キロ台と90キロ台の「ダブルカーブ」で打者の目線を外す。緩急を生かして体勢を崩せるが、狙われると打球は飛ぶため「緩い球は勇気のいる球。それを多く投げられるのは自信がついた証拠」と胸を張る。

本拠地勝利は今季初。ビジターに比べ、練習後に時間があったこの日はロッカーで仮眠。寮では大好きな猫型の抱き枕と枕で熟睡するが、この日は座ったままぐっすり眠ってプレーボールに備えた。

「巨人という強いイメージのある中で自分の投球ができたのは、自信につながると思います」。リーグ戦再開後も、またその左腕で球史を塗り替えていく。【堀まどか】

オリックス中嶋監督(宮城の6勝目に)「どんな場面であっても、自分の球をしっかり放れるのが強みだと思います。すごいのは誰もが認めてると思います」