阪神が今季4度目の完封負けを喫し、2位巨人に4・5ゲーム差に迫られた。完敗の象徴は佐藤輝明内野手(22)か。DeNA三浦監督に松井秀喜級の警戒シフトを敷くと予告され、先発浜口らの前に作戦にハマった形の4打数2三振。前日左膝に投球が直撃した影響を感じさせずにフル出場したが、通算100勝がかかっていた西勇輝投手(30)を援護できず。今季最多の1万5011人を集めた甲子園はタメ息の連続となった。

佐藤輝が悔しさをあらわにした。3点を追う9回の第4打席。1死三塁で三嶋の内角スライダーに空を切った。今季最多1万5011人のファンの期待に応えられなかった。バットをたたきつけるように振り下ろすと、足でポーンと蹴り上げた。続くサンズも倒れて今季4度目の0封負け。矢野監督も「ゼロでは勝てない。見せ場ももうちょっと作りたかったし、点が入って喜ぶところを見せたかった」と悔しがった。

DeNA三浦監督の術中にハマった。対戦9試合で場外弾を含む3発を浴びている佐藤輝について前日、こう予告していた。「本当に良い打者。松井とダブるところがある。いろんな形を使わないと抑えられない」。日米507本塁打の松井秀喜級と警戒警報を出し、その結果が4打数無安打2三振。先発浜口は「(打つと打線が)勢いがつく打者なので注意していた」とにんまりで、三浦監督も「バッテリーがうまく攻めた」としてやったりだった。

2回の第1打席は浜口が2球外角へボール球のスライダーを続け、チェンジアップにタイミングをずらされて捕邪飛。5回の第2打席も2球外角へ変化球を続け、真ん中直球で力ない遊直に倒れた。最初に外側を見せられ、内側を攻められて打ち取られる傾向が目立った。前日24日の中日戦は、4打席すべて徹底した内角攻めで無安打。2戦連続無安打は24試合ぶりで、相手のマークが厳しくなっていることも間違いない。

前日は7回に空振り三振した際、スライダーが軸足の左膝を直撃して途中交代。この日は何事もなかったように5番でスタメン出場したが、踏ん張る際の力の入り具合や、内角攻めの残像など、何らかの影響はあったかもしれない。3番マルテと4番大山は2安打ずつしたが、この日の打線はことごとく5番で切れた。

チームもなぜか甲子園で投げる浜口を打てない。敵地横浜では4勝2敗、防御率5・53と打ち込む。だが甲子園ではこの日も5回2安打0封されるなど0勝5敗、同1・48と歯が立たない。矢野監督も「のらりくらりというか絞りにくい投手。もう1個のボールの見極めとかが今日はなかった」と厳しい表情で言った。5連勝を決めた2位巨人との差は4・5に縮まった。だが首位チームが慌てる必要はない。連日の1万人超えが確実な26日は、白星をつかみたい。【石橋隆雄】

▼阪神井上ヘッドコーチ(甲子園で打てない浜口について)「そんな嫌なイメージではなかったけど。同じ投手に何度もやられることが一番チームとして屈辱なので。首脳陣、選手、スコアラーすべてで対策をちゃんとやっていきますよ」