若き侍リレー。広島森下暢仁投手(23)が隔離期間から復帰後最長の8回を投げ、1失点と好投した。前回登板後にはワクチン接種による副反応がみられたため、2日間練習を休んだ。中7日で臨んだ登板で万全をアピールした。ともに東京五輪の侍ジャパンに内定している栗林良吏投手(24)も9回を3者連続三振。2人のリレーで、今季9度目の引き分けに持ち込んだ。

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2回以降、中日のスコアボードに「0」を並べた。1回に先制を許した先発森下は、2回以降、立ち直った。直球に対応してきた中日打線に球を動かして打ち損じを誘った。5回1死一塁から、2安打されていた大島を外角に球を動かして二ゴロ併殺に打ち取った。4回以降は二塁を踏ませず、8回116球を投げきった。「(1回に)点を取られたので、それ以上取られないようにと。それだけです」

立ち上がりの投球が悔やまれた。プレーボール直後の初球を大島に左翼線に運ばれると、犠打で走者を送られた。わずか3球で1死三塁。高橋周には追い込んでからの6球目を右前へ打ち返された。前回19日DeNA戦に続く初回の失点。2回からはギアを入れなおし、持ち前の制球力に加え、切れを取り戻した。さらに直球を狙ってきた相手に、ツーシームから改良した習得中のスプリットを積極的に使った。

新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者と判定され、3日まで隔離期間を過ごした。さらに22日は前日に接種したワクチンの副反応が出た影響で欠席。2日間練習できなかった影響で、当初予定していた26日の先発から27日に回った。調整が難しい中、中7日できっちりと仕上げてみせた。

8回1失点の力投に、9回に登板した栗林も応えた。「今日は暢仁がいいピッチングをしていたので、負けないようにと思って投げました」と、3者連続三振。大学時代ともに日の丸を背負い、同世代の投手として意識し合う。森下も「刺激になります。自分も頑張らないといけないなとは思います」と認める。

東京五輪で日の丸を背負う若き両右腕の豪華リレーも、9回のサヨナラ機を生かせず、今季9度目の引き分け。佐々岡監督は「2人がしっかりと試合をつくった中での展開だっただけにね」と勝ちきれなかったことを悔やんだ。【前原淳】