矢野阪神が悔しい首位ターン決定だ。2位巨人がヤクルトに敗れ、阪神が前半戦を13年ぶりにセ・リーグ首位で折り返すことが決まった。

ただ、試合後の矢野燿大監督(52)に笑顔はない。「もちろん今、首位でいることは大事だけど、最終的に終わって首位にいることが大事。自分たちの野球がなかなかできにくい交流戦明けになってきている」と、厳しい表情のままだった。

前夜の興奮が一瞬で吹き飛んだ。甲子園初勝利を狙ってマウンドに上がったアルカンタラが初回からつるべ打ちで3回4失点KO。打線も終盤までエンジンがかからない。DeNA坂本に7回5安打1得点。7回佐藤輝の適時打で1点を奪うのがやっとで指揮官も「チェンジアップがね。ちょっとてこずっているなという感じがあった」。今季2戦2敗、防御率1・38と抑えられ、新たな天敵の出現だ。

指揮官も激しく動いた。アルカンタラを3回で見切ると、その後もブルペン陣を惜しみなく投入。2番手以降の二保、馬場、及川がゼロで踏ん張っただけに「あそこでなんとかね、1点でも2点でも取れる形ができればまた変わったと思う。ピッチャーが頑張ってくれたからね、打線もやっぱりそこは頑張っていかないと」と振り返った。

9回2死から打線がつながり劇的なサヨナラ勝ちを収めた大興奮の試合から一夜明けて甲子園はため息の連続…。トンネルを抜けたかに見えた打線がまた沈黙した。交流戦明けからの23試合は9勝13敗1分け。首位を走りながらも追い上げられるレース展開を強いられている。矢野監督は「明日何とかいい形で終わって、スッキリしたいなと思っています」と力を込めた。前半戦は残り1試合。笑って球宴、五輪ブレークを迎えたい。【桝井聡】