夏だ!野球だ!巨人祭りだ!わっしょい!「わっしょいベースボール」を掲げる巨人が、東京五輪後のリーグ再開カード中日戦で3連勝を飾った。初回に先制ソロを放った坂本勇人内野手(32)がチームメートとみこしを担ぐ「わっしょいパフォーマンス」を初披露。中継ぎ陣も奮闘し4-2で勝利した。一方で原辰徳監督(63)は先発戸郷を勝利投手の権利目前だった5回途中で交代。勢いと厳しさが同居する「お祭り集団」として、一体感を高めながら頂点を目指す。

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原監督は満面の笑みで、ファンの笑顔で彩られた観客席を見上げていた。3連勝を飾った試合後。声を出せずとも「巨人夏祭り」に熱気をくれた感謝を伝えるべく、最後の1人になっても、本塁付近を離れなかった。帽子を手に、360度見回しながら何度も手を振った。リーグ再開前日に「みこし担ぎ」を例に、後半戦も一致団結していこうと掲げた「わっしょいベースボール」の一体感で、3連勝スタート。「いい結果が出ているのでそう見えるんでしょうけど、どういう形であってもこのスタイルというのは崩したくないですね」と、うなずいた。

キャプテン坂本の「先制わっしょい」がはじまりの合図だった。1回1死、小笠原の初球の直球を仕留め、打ち上げ花火のように高々と左翼席上段へと美しいラインを描いた。生還後にはベンチ前の仲間とみこしをかつぐジェスチャーを笑顔で初披露。3回は生還した松原、4回は9号ソロの大城と「わっしょいパフォーマンス」が繰り出された。試合後の会見で、原監督は「僕はまだ見ていないんだけどね」と笑いつつ「ジャイアンツという『みこし』を前に進めるということですね」と目を細めた。

「わっしょいベースボール」はノリと勢いだけでは通用しない。先発戸郷が5回1死で完全投球が消滅した直後、2連続二塁打と3連続四死球で2失点すると即降板。「こういうことは2度とないようにするでしょう」と反省を促した。8番起用の広岡は2打席連続三振後にベンチへ下げた。リーグ3連覇を占う再開カードに向け、本質を理解しやすいパワーワードで結束を深めさせつつ厳しく“担ぎ手”を選別した結果が最高のリスタートを生んだ。

お祭り男たちに満足の色はない。チームの先頭で音頭をとる坂本は「目標に向かって一体感があり、チームとして後半戦いいスタートを切れたので気を引き締めて次のカードも戦っていきます」と言えば、指揮官も「また明日から、またフラットに戦いに入り、挑んでいく」と結んだ。巨人みこしは「わっしょい!」の掛け声で勢いよく、秋の歓喜のフィナーレまで日本中を練り歩く。【浜本卓也】