今にも涙が、こぼれそうだった。日本ハム栗山英樹監督(60)は楽天戦(札幌ドーム)の試合前に、巨人へトレード移籍した中田翔内野手(32)について言及。「原監督や巨人の思いを感じて、今まで以上に必死になってやってくれると信じている。どういう形でファンに恩返しができるかというのが大事」と、思いを口にした。

同僚選手への暴力行為から発展した電撃トレード。指揮官は「野球をやらせていいんですか、という意見は世にあると思う」と愚行に憤りながらも、「甘いかもしれないが、やはり野球でしか人生は良くならないと俺は思った」と必死で再出発の道を模索した。受け入れてくれた巨人に対し「原さん含め、ジャイアンツもすごく覚悟がいること。本当に申し訳ない。感謝しかない」と頭を下げた。

日本一の4番に育てると決め、ともに歩んだ10年だった。中田には電話で思いをぶつけ「人に迷惑を掛けた分だけどこかで返さないといけない。野球でここまで来て少しは恩返ししろよ、子どもたちに夢を与えろよ、と言った」と再起を期待した。愛弟子の放出という結果には「現場の責任者であるオレにも、すごく責任がある。成長させるんだと思って一生懸命やってきて、ただ、ひたすら自分のもろさを感じている」と目を赤くし、自分を責めた。【中島宙恵】