「虎メダル」をぶら下げて破顔のマッスルポーズ。前回より腕の角度を上げてしまうのにはわけがあった。阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(31)は先制弾を放った直後、広報を通じて興奮の理由を明かした。

「実は今日、娘が生まれたんだ。生まれてきてくれた娘にささげる最高のプレゼントになって良かった」

日本時間の早朝、愛妻が米国で第2子となる長女を出産していた。「生まれたところにいられなかったのは残念ですけど、元気に生まれてくれた」。感極まる感情を、余すところなく一挙手一投足に込めた。

2回表2死、2ボール1ストライク。大瀬良の外角低め145キロ直球を逆らわず強くたたき、左翼フェンスを楽々オーバーさせた。直近5試合で3本目となるアーチは先制5号ソロ。一塁コーチャーの筒井外野守備走塁兼分析担当コーチと、いつも以上の高さでジャンピングアームタッチを決めた。

4回表にも痛烈な右前打を放つと、今度は左翼守備でも魅了する。1点ビハインドで迎えた4回裏2死二、三塁。1番野間の大飛球に対し、背走から間一髪で左腕を伸ばしてキャッチ。「昨日エラーで足を引っ張った。ミスを取り返すじゃないけど、守っている以上はそっちでもチームに貢献したい」と力を込めた。

前日26日のDeNA戦では6回、トンネルで痛恨の適時失策を喫していた。一夜明け、名誉挽回の快打&好守備を決めてホッとひと安心だ。

ただ、チームは終盤の追い上げ実らず惜敗。愛娘の記念日を勝利で飾ることはできなかった。「今日勝てたらさらに良かったんだけど…。しっかり気持ちを切り替えて、また明日から頑張るよ」。後半戦13試合で打率3割1分1厘、4本塁打、7打点。激しい1軍助っ人枠争いの中でも、代えの効かない存在になりつつある。【佐井陽介】

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