広島坂倉将吾捕手(23)が、土壇場で逆転10号3ランを放ち、チームを今季初のサヨナラ勝利に導いた。

2点差まで迫った9回2死一、二塁。R・マルティネスの156キロを強振。痛烈な打球は右翼席へ突き刺さった。悠々とダイヤモンドを1周し、本塁で待っていた鈴木誠に飛びついて抱き合った。劇的な人生初のサヨナラ弾に、お立ち台で「最高でーす!」と何度も叫び、喜びを爆発させた。

「誠也さん調子いいんで、絶対回ってくると思って、何とかしてやろうと。迷いなくいけました」

セ界のリーディングヒッターに躍り出た。この日、規定打席に到達。7回無死からは中前打を放ち、12試合連続ヒットを記録。9回のプロ初となる2桁本塁打弾を含むマルチ安打で、打率は3割3分2厘まで上昇。DeNAオースティンの同3割2分4厘を8厘差で上回り、堂々とリーグの首位打者に立った坂倉は「そこはもうあまり意識していません」と至って冷静だ。

好調を支えるルーティンがある。試合前練習のティー打撃で、元同僚の巨人丸のように、右足を上げた際にバットのグリップを下げる「ヒッチ打法」を、練習序盤に実施する。バットと体の動きを連動させるイメージで「タイミング」を重視しているといい「ティーを大事にしてから成績が上がってきた」。今季新たに取り入れた練習で手応えをつかみ、結果につなげた。

高卒5年目にして、圧倒的な存在感を放っている。本職の捕手と一塁の併用で出場を続けながら、鈴木誠の後を打つ5番打者に定着した。チームに欠かすことのできない唯一無二の存在となった。【古財稜明】

◆坂倉将吾(さかくら・しょうご)1998年(平10)5月29日、千葉県生まれ。酒々井中では八千代中央リトルシニアに所属し全国優勝。日大三では外野手として1年秋から4番。2年秋から正捕手。高校通算25本塁打。16年ドラフト4位で広島入団。1年目の17年9月23日巨人戦で1軍デビュー。176センチ、86キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1800万円。

▽広島佐々岡監督(劇的なサヨナラ勝ちに)「本当に最後の最後まで諦めない形が、ああいう形になった。本当にまだ興奮しています」