ロッテが首位を走る。スーパースターはいなくても、全員野球で束になる。己の持ち場で存分に輝く4人をクローズアップする。

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藤岡裕大内野手(28)が14日、パ・リーグの打率9位に浮上した。9月に限れば、17日時点の打率は4割0分4厘だ。

「9月に入って、何が良くなったか分からないですけど」

困ったように笑う。井口資仁監督(46)には意外とは映っていない。「もともと打撃のいい選手ですからね。本当にいい集中力を持って、今年はやってくれていると思います」。

開幕戦のスタメン遊撃手はベテラン鳥谷が選ばれた。藤岡は最後まで競ったが、鳥谷ほど調子が上がりきらなかった。

「悔しさはありました。けれど、いつかチャンスが来たら、少ないチャンスを絶対にものにしようという思いでやっていました」

そのスタンスは今も変わらない。好調の秘訣(ひけつ)を問われると「1打席を無駄にしないこと。打てる球をしっかり待ってという意識はすごくあります」と話す。指揮官がほめるように、高い集中力で貢献する。

105試合に出場し、そのうち21試合(17日終了時点)で試合中に三塁から遊撃(または遊撃から三塁)に移っている。極端なシフトを敷く時は、遊撃なのに二塁手の守備範囲を守ることもある。縁の下の力持ち。走攻守に、よく似合う奮闘ぶりだ。【金子真仁】